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「今の図書館事情」中村🍀

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県外のある都市で公立図書館の司書をしていた同級生と、先日偶然近くのホームセンターで出会い、向こうから声をかけてきまして、司書を辞めて帰ってきたとのことでした。事情を聴くと、図書館の来館者数が減少していることの責任を取らされるのに嫌気がさしたそうです。それだけではなく、”全然借りられていない本は処分しろ!”だとか”流行の書籍を増やして来館者を増加させろ!などと、行政から圧力がかかるそうです。図書館の運営がコストカットの対象になっているのが現実のようです。

最近の私は、減った来館者の内の一人かもしれません。昔はよく図書館に行っていた記憶があり、夏休みの宿題や受験勉強のため部活前後に通ったり、図書館を人との待ち合わせ場所にしたりしていましたが、今は全く縁がありません。ネット社会になり調べ物はPCやスマホでできますから、昔のようにアナログ的な行動が必要なくなりました。子供の内に図書館利用する人も今は少ないのではないでしょうか。

通っていた頃感じていたことは、”ここにある大量の本のうち、自分が見る本の数って何パーセントぐらいなんだろう?”と。目的以外で興味を持ったり、”何だこれ?”と思うような書籍を引っ張り出して読んだことはありますが、中学3年間でも1000冊も見ていないと思います。1000冊と言ってもパラっと眺めたものも含んでいます。”ここにある本にほぼ触れずに、自分の知識を深めることもなく、図書館を利用しなくなるかも…”と思ったものでした。

その同級生が言うには、司書が司書らしく本を選びたかったとのこと。図書館の管理人みたいな扱いなのに、経営責任は持たされるし、場合により”民間に下ろすぞ!”的なことも言われたらしく、短い立ち話でしたが、司書の仕事も大変なんだなぁと思わされました。読まれない本は捨てろなんて言う人がいるのかと、それが行政の方であったり、知識の高いと思われる人だったりが吠えていることを想像すると、情けない世の中になったなぁなんて思えてきて、この同級生には同情の感情しか湧いてこず、”まぁ頑張れや”としか言えずに別れました。

彼は彼なりに、老若男女どうやったら図書館に人が戻ってきてくれるか工夫はしただろうとは思いますし、わざわざ大学に行き司書の資格をとって図書館勤めを選んだ本好きなわけですから、勇気をもって仕事を辞めてきたわけです。25年以上も働いたのだからもう少し抗ってみても良かったのではないかとも思いましたが、気持ちのわからないような言葉かけはよしておきました。ひとつだけ、保育所・学童保育やカフェなどを併設するなんかどうや?とは言いましたが、もう辞めたからいいと言われてしまいました。

本好きや文章を読むのが好き、静かだから好き、図書館の匂いが好き、単純に図書館が好き、様々に理由や目的があって集まっている人たちの居場所たる図書館。それでも世の中の図書館は今ピンチのようです。必要か不必要かという議論ではないにしても、本離れ・活字離れも影響していると思います。無料で本が読める・無料で本が借りられる、今思えば何てすばらしいことなんだと改めて思えますし、司書でもない私が、または図書館経営の何たるかもわかっていない私が、図書館の来館者増って何をしたらいいんだろうと少しだけ考えてみる一瞬でもありました。

 

[秋の風景]

11/19 佐賀・武雄・御船山にて紅葉狩り🍁

 

あかつき・施設長・中村 猛🍀