きらクリニックの実践ブログblog

京都出張[理事長 吉良朋広]

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 先週、京都で行われた日本老年医学会総会に参加させていただきました。高齢者に対する最新の知見や治療法について学ぶことが出来、今後の診療にいかしていきたいと思います。ただ、AIを使った介護ロボットや作業補助器具の機器展示に期待して行ったのですが、それらの展示はほとんど無く、その点では少し残念な学会でした。

 さて本題ですが、空き時間を利用して観光もしました。南禅寺の塔頭寺院の一つに金地院というお寺があります。たまたま前を通って、入ったこのお寺で長谷川等伯の『猿猴捉月図』の襖絵を見ることが出来ました。ガラスの様な遮るものもなく間近で直に見ることが出来たのですが、最初は正直言って古ぼけて汚い印象でした。それが畳の上に座り、部屋の蛍光灯を消して庭からの反射光だけにしてみると、まるでそのものが目の前にあるようなリアルで立体感に富んだ素晴らしい絵に変わりました。日本画は美術館で見ても本当の良さは分からないと言われることを実感できた瞬間でした。

この絵です

 この絵は池に映った月をテナガザルが取ろうと手を伸ばしているところを描いたものです。『実の無いものを得ようと夢中になることの愚かさ』を表しているとも、『体を支えている枝が非常に細いことから、手の届かない望みを抱いて現実を見ていない危うさ』を描いているとも言われています。

「ああしたい」「こういう風になりたい」という望みや欲は、人が努力する大きな原動力となります。しかしその望みが間違った方向を向いていれば、努力も報われません。

自分が池に映った月を取ろうとしている猿になっていないか、今一度自分を見つめ直してみたいと思います。

 

キキッー♡