白川の里の実践ブログblog

紫陽花

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   ある日の夕方の出来事です。ご入居者A様に声をかけると、「帰りたい・・・」と少し悲しそうに返事をされました。4月に入職したばかりの私は戸惑い、すぐに言葉を返すことができませんでした。先輩職員に相談すると、A様がそのような事を言われるのは珍しいとのこと。そこで、気分転換も兼ねて散歩にお誘いすることになりました。

天気が良かった為、中庭に案内すると、そこには紫陽花がたくさん咲いていました。
目の悪いA様に、自分なりに一生懸命紫陽花の色や様子を説明していると、日頃から口数が少ないA様から「今は何月?」との質問。私は、少し嬉しくなり、今は6月であること、紫陽花の他にも、ユニット菜園のピーマンやミニトマトがなっている事、とても天気が良い事を伝えました。
A様は「ふ~ん」「そうなの」「へ~」と言われるだけでしたが、心地いい風を感じその顔はとても穏やかな表情に見えました。その後はA様から、「帰りたい」との言葉は聞かれませんでした。

私はこの時、「寄り添う」とはこういうことかなあと感じることができました。

一見何でもない出来事ですが、入居者様と同じ目線、同じ環境で、思いや時間を共有しながらしっかり向き合うということは、今まで違う職場で時間に追われながら介護をしてきた私にとって、とても新鮮で心温まることでした。

 このようなケアが提供できる環境に感謝し、今後も白川の里の職員として「寄り添える」ケアが実践できるように、日々自己研鑚に努めていきます。

 

西館1丁目 村田 みさ子