白川の里の実践ブログblog

はじめての親孝行

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 私が昨年の12月に、母を玉名温泉に旅行に連れていった時の出来事です。
チェックインして夕食前に温泉に入ると、時間が早かったこともあり、浴場には私達の他に、80代くらいの2人の女性が入浴されていました。1人の方が先に上がる時、軽く挨拶を交わし私が一足先に湯船を出て先に着替えをしていると、母が大声で私を呼ぶ声が聞こえました。私は母が転倒したのかと思い、浴場まで走って駆けつけると、湯船の中で先ほどの女性がうつぶせに浮かんでいる姿が目に飛び込んできました。私は何も考えず服のまま湯船に飛び込んで女性の体を外に引きずり出し、バイタルを確認すると呼吸も脈も確認できませんでした。そこで直ぐに人を呼んでもらうと同時に、心肺蘇生術を施し何とか呼吸は戻りました。数分後に救急車が到着し女性はそのまま病院に搬送されました。

 その後警察からの連絡で、その方は搬送から3日後に意識も戻ってきたそうです。今回幸いにして、その方の命を取り留めるお手伝いができたのも、ひとえに日頃から施設で行っている心肺蘇生術の訓練のおかげだと実感しましたし、今後もこうした訓練に努めていきたいと思いました。

 後日母が私に、「いつも蚊の泣くような声でしかしゃべらないあなたが、あの大柄な女性を1人で抱え上げ、大声で的確に周りに指示を出す姿を見て本当にびっくりしたよ。そしてその結果1人の命を救うことが出来て本当に良かったね。こんな娘をもって私はあなたのことを心から誇りに思うよ」と言ってくれました。私はこれまでの人生の中で、母にはじめて褒めてもらい本当の意味で親孝行が出来たような気がして心の底から嬉しく思いました。

 まさに“情けは人のためらず”このことを身を持って実感した貴重な経験でした。

施設福祉課 課長補佐 増田博美