入職して21年、この間を振り返って見ると、600名を超えるご入居者との素敵な出会い、
そして悲しい別れがありました。
その中でも、特に印象に残っているのは19年間一緒に過ごさせて頂いたAさんです。
Aさんはとてもお元気で、毎日事務所に来られては
「大保さん、今日も来とんなはったな」と声を掛けて下さいました。
Aさんとは一緒に食事やお墓参りへ出掛けたり、腕時計が壊れた時には一緒に買いに出掛けたり・・・。今でも当時のことを昨日の出来事のように思い出します。
そんなAさんが、真剣な顔で私や施設長に何度も何度もおっしゃった言葉が
「自分が死んだら、ここ(白川の里)で葬式をしてはいよ。頼んだばい」
でした。
一昨年、Aさんはお亡くなりになりました。
身寄りがいらっしゃらなかった為、私たちは行政とも相談し、どうにかAさんの葬儀を白川の里で行い、約束を守ることができました。
後日、長年生き別れとなっていた息子様から連絡があり、白川の里へ遺品を引取りに来られました。私がAさんの入居中のご様子をお伝えすると、息子様がAさんの笑顔の写真や腕時計を見つめながら
「父は幸せだったと思います。お世話になりました。この腕時計は私が大事に使います」
と御礼の言葉を述べて帰っていかれました。
Aさんとの約束を守れたこと、そして息子様にAさんの生前の様子を伝えることができたことで、Aさんの『いのち』に、そして『思い』に寄り添うことが出来たと思いました。
これから先の出会いを大切にし、職員みんなでお一人おひとりの『いのち』に寄り添っていきたいと思います。
施設福祉課 課長 大保 透