白川の里に勤務しだして、今年の8月で4年が経ちました。
最初に配属された部署でのことですが、毎年この頃になると思い出すことがあります。
ご入居者のお部屋を訪ねた時に、正直部屋に入るのが苦手でした。理由はご入居者とコミュニケーションが上手く図れていなかったと思い込んでいたからです。
「○○さん、こんばんは」と声を掛けると「うん?」と返事。
おや?と思った瞬間「あら、今日はあなたね」ととても穏やかな表情でした。少し話をしてみようかと顔の近くまで寄ると、その方がニコニコしながら私の髪を手の甲で耳にかけてくれたのです。
その瞬間、私もその方も無言で微笑みあった事を今でも鮮明に覚えています。
恥ずかしいことですが、慣れない業務で髪型どころではなかったのでしょう。
思ってもいなかった出来事に感動しましたが、私が母親にかまってもらえなかった幼少の頃を思い出し、母親の暖かさとはこういうことなのかなと感じました。
悩みを抱えていた時期でもあった為、あの出来事のおかげでまだまだ頑張ろうと元気が持てた瞬間でもありました。
私がご入居者に寄り添っていたつもりが、逆に私が寄り添わせてもらいました。
その方は退去された為今はお会いする事はできませんが、もし再会できたら「あの時はありがとうございました」と心からお礼が言いたいです。
現在、私は通所介護で勤務しておりますが、誠実な気持ちを大切にし、ご利用者の皆様と接してまいります。
なぜならこれからも沢山良い思い出を作っていきたいからです。
通所介護事業所 金子ゆかり