私は、白川の里に入職しこれまでに多くの感動を経験しました。
本日は、先日退居されたA様の事をお話しさせて頂きます。
A様は、山形ご出身で、山形なまりでポッリポッリと朴訥な話し方をされる方で、よく私達職員に冗談を言われ笑顔がとてもステキな方でした。
入居されたころ、夜なかなか眠られないことが多く夜勤時には、居室でご一緒にテレビを見て過ごすことが有りました
そんなA様でしたが、最近ではだんだんと言葉も少なくなり意思疎通も難しい事が多く
入退院を繰り返され、ご家族も随分悩まれたのですが結果的に、医療施設へと移られることになりました。
退居の朝、私と目が合うといつものように、私に敬礼をされましたがご本人の声を聞くことは出来ませんでした。
出発される時間になり、玄関にお見送りに出ていると車の中から生活相談さんが「橋爪さんと呼ばれています」とのこと。急いで車に乗り込むとA様が満面の笑顔で敬礼をしてくださり、「ありがどさん」と山形なまりでおっしやいました。
最近、聞くことができなかったA様の声に感動し離ればなれになる寂しさと笑顔での声かけの嬉しさに目頭が熱くなりました。
「しっかり治療をされ、元気になってくださいね」と、お伝えすると私としっかりと目線を合わせ「勿論だ」と、これまで見たこともないくらいの満面の笑顔で、職員との合言葉を力強く言われお約束のポーズをとられました。
それから数日後、娘様方が荷物を取りに来られた際、この出来事をはじめ、今まであった様々なA様とのエピソードについて、いろいろなお話しをしました。
「父は、ちょっとはまともな事を言って、お役にたてれたんですね。白川の里さんにきて良かったです。父も最後までお世話になりたかったと思います。」
と、涙を流し「ほんとにありがとうございました。大変と思いますがこれからも、体に気をつけて、このお仕事を頑張って下さいね。」と、お言葉を頂きました。
私は今現在、4月に入職した新人さんを指導させて頂いています。
ケアの技術は勿論ですが、人間どうしの心と心の繋がり「ひとりのいのちに、みんなでよりそう」を、私自身が学び感じながらこの仕事を選んで、良かったという思いを、後輩職員に伝えていきたいと思います。
東館1丁目 橋爪真理