若草学園の実践ブログblog

子どもの思い

カテゴリー:若草学園の実践ブログ

 家庭での色々な事情で、幼いながら入所している子どもも増えてきています。小学生であれば、まだまだ甘えたい年頃。事情によっては、帰省も出来ない園児も多く、色んな思いを重ねていますが、やはり「家に帰りたい」と言う子ども達。帰省していく友達を見送ると「いいなあ」と言います。何があっても子ども達にとっては大事な家庭であり、ご両親なのです。そんな姿を目にするともっともっと出来ることがあるはずだと心が痛くなるものです。

 

小さいながらも、育って来た環境の中で色んな体験をし、中には心に傷を負っている子どももたくさんいます。色んな思いを抱えながら寂しさと不安もあると思います。学園で楽しそうに過ごしていても、どこか不安定になったり、時には攻撃的になったり、反抗的な態度になったり・・・。家庭で過ごしても、成長する中でそんなことは日常茶飯事であり、自分の子育てとも重なることを思い返します。

 

最近入所となった小学5年生のS君。日頃より自分のしたい事が一番。思いが通らないと怒り出し物に当たったりします。あまのじゃくの所もあり、何か聞いても反対の事を言ったり、こちらからの促しもなかなか入りません。先日も食後の歯みがきを頑なに嫌がり、どんなに促してもしませんでした。そして、「さっきしたもん!」と言い張ります。友達もそれを見ていたので色々言うものですから、ますます怒り出し部屋で暴れ出してしまいました。タンスを蹴り、物を投げ、やめるように言うと逆効果なため、まずは気持ちを受け入れ、静かに近くに行き「しなさい!しなさい!って言われると嫌だよね。ちゃんと後でしようと思ってたんだもんね」「先生は知ってるよ。ちゃんと出来るんだもんね。」そう言い手を握ると静かに涙を流しています。よしよしと頭をなで、「大丈夫。わかってるよ。」と言うと泣き声も大きくなり、しばらくして落ち着いた所で、歯みがきに一緒に行き、出来た事を褒めました。

その夜の寝る時間に、同室の3歳の子を寝かしつけながら、話しをしました。学園に来てからの気持ち、家に帰りたい気持ちなどを話すと、家に帰りたい、そしてお母さんに会いたいと。「そうよね。帰りたいよね。お母さんに会いたいよね。早く会えるといいね。」と気持ちに同感するだけで少し安心するような表情でした。日頃はあまり家庭の事は口にしないようにしていますが、たまには思いを吐き出させ受け止め同感することの大切さを感じました。子ども達がよりよく育つ為に、しっかりと思いを受け止め理解し、支えて行きたいと思います。

 

入所部 松村