若草学園の実践ブログblog

おばあちゃん先生の子育て回想録

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古い話にお付き合いくださってありがとうございます。今回は就学に向けてのお話です。

私の長男は知的障害です。はっきりと知的障害と障害名で診断を受けたのは小学校入学前でした。

もうすっかり大人になった長男ですが未だに私はこの知的障害という言葉に抵抗があってなかなか受け入れられないでいます。受け入れようが受け入れられまいが現実は変わらないのですけれど…

幼稚園の年長になると定型発達のお子さんとの差がはっきりわかるようになり、就学に向けてどうすべきか思い悩む日が続きました。

私は本当にダメ母で幼稚園で元気に楽しく過ごしている長男を見るとこのままでもなんとかなるのではないかと淡い期待をもってしまいます。<生きてるだけでまるもうけ>が当時の私の心情でしたので…

ですがそんなのんきなことを言っている場合ではありません。入学したら困るのは目に見えています。

それでも、うだうだして、またもやだれかがお母さん大丈夫ですよ 何とかやっていけますよ と言ってくれることを求めてしまいます。

園の先生にそれとなく思いを伝えてみました。当然のことながら大丈夫なんて言われません。お母さんが気になるのならもう一度専門の機関に相談されてみては?と背中を押してもらいました。

まず町の心理相談を受けました。心理の先生に本人を見ていただくとともに出生からの経緯をお伝えすると、穏やかに笑っていらっしゃった表情が少し曇り、専門機関での発達検査を受けることを進められました。そして最後にこうおっしゃいました。

お母さん大丈夫ですよ! 何か診断がついたとしても、お母さんはこれまでその都度やるべきことをしっかりと手を尽くしてこられています。あの時こうしておけばと後悔することは何一つありませんよ。

私はこの言葉に本当に救われました。受け入れられないながらもあれこれとやってきたことに間違いはなかった。自分自身を認めてもらえたことで前に進む気持ちを持てるようになりました。それからは気持ちを切り替えて就学に向けての検査、相談をどんどん進めていきました。以前お世話になった療育機関で発達検査を受け、はっきりと数値で障がいの状態を表していただきそのデータを持って、最初に発達の遅れを見つけていただいた小児科(発達障害も診られる)で知的障害との診断を頂きました。当時は支援学級に在籍するのに診断はいらなかったのですが私自身がそのことで踏ん切りがついたように思います。

小学校に相談するために幼稚園での状況を発達支援センターにお願いして訪問観察していただきました。

ダウン症の娘が通っている言語教室で年長の一年間だけ長男をお願いしました。

そうして小学校との話し合いになりましたが、入学時の支援学級の状況が在籍数が多くあと二人入ればもう一つクラスを増やすことができるけれども、もう一人入らなければ長男を入れると在籍人数マックスで、重度のお子さんもおられて、在籍しても長男に丁寧な支援をすることが難しいとのことでした。

何度か話し合いを重ねた結果通常学級で頑張ってみることになりました。

支援学級在籍を覚悟していましたが結果、通常学級に決まって良かったのかどうか…15~6年前の話です、当時境界枠の知的障害児は多くが通常学級に在籍しているような時代でした。子供が苦労することはわかっているのに少しほっとした自分がいました。ただの親の見栄でしかありませんが…

とはいえ在籍も決定し相変わらず能天気でよく言えば天真爛漫な息子はめでたく卒園し入学式前日を迎えました。小学校ではわざわざ息子のために翌日の入学式の事前説明の時間を取ってくださいました。大事な用事だからと息子に散々説明して遊びに行かないように念を押していたのに、やっぱり近所の友達とどこかへ行ってしまいました。私の頭は怒りで沸騰しあちこち探し回った挙句見つけたときには大声で怒鳴りつけていました。そんなこともありながら無事入学式を終え息子もピカピカの一年生になりました。昔は計画相談支援などというものがありませんでしたからすべて自分で動かなくてはどうにもできませんでした。今は制度が充実していてうらやましく思います。そんな時代でしたが、園でも療育機関でも扉をたたけば親身になって寄り添ってくださいました。私も昔の自分の気持ちを思い出しながら子どもさんと保護者さんの力になれるよう尽力していきたいと思っています。

 

児童発達支援センターおひさま 児童発達支援事業 一山直子