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「子どもの発達」と「気付き」

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「子どもの脳の発達」は、3歳までに80%、5歳までに90%の脳が育つと言われています。

その後は、ほぼ固定され、残り10%の育ちを20歳までの年月をかけて、ゆっくりと育っていくのだそうです。

 

 私が関わってきた自閉症の子ども達の中には、当初、療育手帳を所持していた子ども達も、早期療育をスタートさせ、人との関わり合い方を学び、人の話が聞ける様になり、言葉でのキャッチボールの仕方を学ぶ事で、IQ自体も上がり、療育手帳がもらえなくなったケースを何人も見てきました。

 

 自閉症を含む発達障がいのある子どもの場合、「人との関係性・距離感・コミュニケーションを上手く結べない為に起きている行動である(感覚過敏からくる行動もあります)」と捉えることができれば、とても分かりやすくなると思います。

 

 特に、脳の発達の盛んな幼児期に、気になる症状があれば、一日でも早く療育(発達のためのトレーニング)を開始することが大切です。確定診断がつかない場合でも、「様子をみる」「時期を待つ」のではなく、積極的に働きかけを行うことです。障がいが明らかとなって、診断が確定してからでは遅い場合もあるのです。

 

 今では、発達障がいに対する周知も進み、早期発見につながっています。ただ、ときには希望的観測で、「もう少し様子をみましょう」といわれ、半年、一年、時間をロスしてしまうこともしばしばです。家族としては、できれば障がいがあるとは思いたくなく、発達の遅れを指摘されても、対応を先延ばしにするという場合もあります。しかし、判断を迷う場合は、むしろ疑って行動するということの方が、この問題については大切です。

 

 自分やわが子が「障がい」と診断されることに衝撃や抵抗を覚えることは当然です。障がいに対する理解が進んだとは言え、からかいや排除のきっかけとなったり、みんなと違うということに強い不安や障がいを蔑みの代名詞のように使う場面にしばしば出くわします。そうした愚かな偏見や無知を払拭できる正しい理解が必要です。その為には、まず自分自身や身近な存在が、その人が抱えている困難をきちんと理解し、受け止めていく必要があります。その人自身や家族が、「障がい」に怯えているとしたら、それはつまり偏見の側にいるということです。その状況を脱して、ありのままの現実を受け止めるということが、まず出発点となるでしょう。

               

「大人の気づき」は、子ども達の発達にとって、貴重な支援の後押しになると感じます。

 

                        相談支援センターいちばん星  伊豆野 良栄