若草学園の実践ブログblog

一緒に頑張ろうね

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その年によってクラスの雰囲気は違いますが、子ども達は学年が進むに従って成長していきます。同時に一緒に頑張るスタッフにも出来る支援が増えることで喜びも増します。

小学2年生のとっても元気なS君とU君、O君は、仲良し3人組です。スタッフはいつも3人のパワーに押されそうです。ここでは3人とスタッフの知恵比べになります。

事前に、スタッフ間で作戦会議(正しく言うと支援会議ですが・・)を開きます。

3人の課題、好きなこと、頑張って欲しいこと、スケジュールの流れや課題の伝え方、準備する支援ツールなどなど、3人を思い浮かべながらあれこれ話しながら準備を進めていくのは正直、ワクワクします。「チームって感じだね」と笑いも起こります。昼食を摂るより準備に一生懸命になっていると「いかん、ちゃんと食べとかんと体力がもたんよ。」と食欲に対しても真剣です。

その中のS君は、興味のある物が見える、気になる音が聞こえると、パッと素早く動いて反応します。席に着いて課題をする時間になってもなかなか取り組めない事が続きました。

スタッフ間では、「どうしたらいいかな?」

「S君自身も席に着いて課題が出来るようになりたいと思っているはずなんだけど…」

「3分でも5分でも席に着いて課題に取り組んで『できた!』という達成感があると良いかもね」

「S君に、して欲しいことを分かりやすく示さないといけないね。」

「簡単なトークンを取り入れてみると励みにもなるよね。」

「S君は『鬼滅の刃』が好きだからトークンに使うシールは『鬼滅の刃』のシールを使ってみよう」

「S君の机の場所は、ここがいいね。」

「机と椅子の高さを調整しておこう」「パーテーションは必要かな?」

などなど、S君をめぐり色んなアイディアが出てきました。ほんとに決戦前の作戦会議です。

でも、スタッフの言葉や表情からは「S君、一緒にがんばろうね」「S君に『できた』を経験して欲しい。」という思いを感じます。

「さあ、本日のS君のメニューはどうしましょう(^^♪」ここまでくると楽しくなってきます。「スケジュールに合わせて行動の切り替えをしよう。」ということになりました。

『5分、席について活動をしてみよう』と個別課題を入れました。

S君用のスケジュール表(絵付きのカード)、一緒に活動するスタッフの顔写真カード、

個別の課題(S君の好きな間違い探しのプリント・制作の材料)、S君の好きな感覚刺激グッズ、トークンカードとシールを準備しました。

次は机の配置です。「視覚的な刺激が少なく、課題に集中できる場所や向きはこっちかな?」「ここにパーテーションがあったら、周りの音も気にならないよね」

具体的に物を動かすうちにS君の行動が想像できます。

さあ、準備は出来ました。この様に毎回準備をし、振り返りをしながら変更を加えていきました。S君は回を重ねる毎に席について活動をする時間が延び、今では30分間席に着いて活動が出来るようになりました。スケジュールに応じて行動の切り替えも頑張っています。

「S君一緒に頑張ろうね。」というスタッフの思いが支援の中で形になってS君に伝わっていると思います。「チームっていいな。チームって頼りになる~。」と感じます。

子ども達の支援を一生懸命考えていくうちに、人の繋がりが出来てくるようです。

「療育って難しい。」と思うことが多い中、楽しく一緒に頑張れるという思いを強くしました。

 

放課後等デイサービス おひさまぷらす

吉田広子