以前、息子も娘もまだ幼いころに、別の仕事で療育手帳B1を持つ青年と一緒に働く機会がありました。その方はとても努力家で運転免許も取得されていました。
仕事ぶりも真面目で一生懸命に勤めていらっしゃいましたが、一緒に働いてみるといろいろと難しさもありました。
彼はあまり交友関係も少ないようでしたし、音楽を聴いて楽しむくらいで特に趣味もないようでした。世間話をする中で、自分はお給料をもらうと気持ちが大きくなってしまってすぐに使ってしまうことや、携帯のゲームなどでついつい課金をしてしまうことなど話してくれました。子どもが好きで本当は学校の先生になりたかったと話され、どうして僕は先生になれないんですか?と聞かれて何と答えれば良いのか困った事もありました。
様々な難しさがあって私も働きづらいところは多々ありましたが、私の息子も大人になって働くようになるとこんな風に周りに気を遣わせたり、ご迷惑をかけるのだろうなと思って、勉強させてもらっている様な心持ちでした。
今、おひさまで働かせて頂いていますが、私の息子とそんなに歳が違わないスタッフの方々が本当に優秀で素晴らしい働きぶりなので助けてもらうことが多いのですが、そんな時、ついつい息子と比べてしまい情けなく感じてしまいます。でも息子が悪いわけではないし本人も頑張っているのにそんな風に思ってしまって息子に悪いなと感じたり………
療育手帳B1の青年と一緒に働いて学ばせてもらい私が息子に必要だと考えたことは、職場と家庭以外の居場所、対等な立場で話が出来る仲間、信頼して相談できる支援機関とのつながり、適正な金銭感覚を身につける事。
そのために頑張ってきたつもりではありますが、そう簡単ではありません。高等支援学校時代には仲間も支援も金銭の学習の機会にも恵まれていましたが、卒業してしまうと繋がりも希薄になり、働きだすと職場でのストレスもありいろいろと問題を起こしています。
ダウン症の娘にしても20歳の最後の療育手帳の判定でB1からA2に変わりました。当然、年齢を重ねれば、一般の二十歳の人との隔たりが大きくなってしまうことも分かっているつもりでしたがやはり気落ちしてしまいました。日常生活でも困難が多く支援はどうしても必要です。
親亡き後はどうなってしまうのか…
いつかは家族以外の人たちにお世話にならなければいけない事を考えて、この先の準備を整えて行かなければなりません。
身辺自立面の強化、金銭管理の学習、権利擁護、成年後見、グループホーム……
親が元気なうちに道筋をつけておかなければならないことがまだまだ山積みです。
成人したこどもの子育てはこの先も終わることは無いようです。
長らく続けさせていただいたこの回想録。
今回で終了させていただきます。これまでお付き合い頂きありがとうございました。
児童発達支援センターおひさま 児童発達支援事業 一山