うん十年前、新卒で幼稚園に勤め始めた頃に研修で教わった言葉が何かと思い出される。
「丁寧な生活を心がけなさい」と言われた。大学を卒業したばかりの頃は、幼稚園での仕
事の大変さに挫けそうになりながらも必死で仕事をしていた。先輩や同僚に恵まれて何か
と助けて頂いた。実家で暮らして帰宅してどんなにだらしなくても食事や身の回り事で困
ることはなかった。少し仕事に慣れると「これでいいのかな?」と迷いが出てきて、クラ
ス運営で悩むようになってきた。そんな時「丁寧な生活を心がけなさい」という言葉を思
い出した。私生活のだらしなさを反省した。自分の足元をまず見直しすることから行動す
ると仕事も落ち着いてきた。結婚をして子どもが生まれると元々家事が苦手な私は、「ど
うしよう。何もできない」と慌てる毎日だった。そんな時も「丁寧な生活を心がけなさい
」という言葉を思い出し「家事も一つ一つ終わらせればいい」と苦手な家事に向かい合う
ようになると子育ても楽しく感じた。(家事は未だに苦手ですが・・)
「丁寧な生活」を考えると私の場合は、「身の回りを整える、やるべきことを後回しにし
ないでやる、周りの人(家族や同僚)に不愉快な思いをさせないようにする」が浮かぶ。
この言葉を思い出す時は、私自身が慌てている時や物事がうまくいかない時などネガティ
ブな時が多く、防衛反応のようなものだと思う。「慌ててもしょうがない。今やるべきこ
とは、先ず一つ一ついつもしていることをきちんとする」という思いが言葉で浮かぶ。
コロナ禍の不安はどうしようもないことだが、ストレスを抱え続けている感覚がある。
「なにかとコロナ・・・」気が滅入ったり、緊張したり、やる気も無くなる。
最近も「丁寧な生活を心がける」という言葉が色んな場面でぽつぽつ浮かぶ。
「まずは、これをしよう」と確認して取り掛かる。家庭や職場では、ありがたいことに「
どうする?」と相談ができる。一緒に考える人が多いことはそれだけやる気も増すと感じ
る。不安も少なくなると思う。周りの人の知恵や力を借りて丁寧な生活を整えることで色
んな困ったことを乗り越えていくのだと思う。先日、職場の新人職員さんと「大変な時期
に就職だったね」と話すと「できることからしてみます」と言っていた。コロナ禍の中で
の支援は緊張感もある中大変だと思うが、自分にできることは何か、今は何をするときか
とそれぞれの職員が自問自答しているのだと思った。出来るだけいつでも力になれるよう
自分自身の身の回りを整えておきたいと思う。
児童発達支援センターおひさま 吉田広子