少し前に、誕生日を迎えました。私ぐらいの年齢ではすでに、誕生日が特にめでたい話でもなくなっていますし、誕生日当日も我が家で私に“おめでとう”などを言ってきたものはいません。もうここ数年誕生日を祝われた記憶がないほどです。
誕生日を迎える前の週の宿直の晩のこと。安否確認のために、“おやすみなさい”の声掛けも兼ねて、20時前後ごろ全室・全員を巡回します。その際に、あかつきの現在の最高齢のK様(11月で満100歳)を訪ねました。K様は眠前薬を施設で管理しており、宿直者が手渡しすることになっています。2種類あるので、封を切りひとつにまとめていると、K様が「施設長さ~ん、、、施設長さんは今月誕生日だろ?いつもお世話になっとるけん、息子嫁さんに頼んで誕生日プレゼントば買ってきたけん、もろてはいよ」と。私の返しは「僕たちは物をもろたらいかん決まりだけん、もらえません。服務規程違反だから、もらっちゃったら僕は首だよ」。K様「ここだけの話でしょうが?内緒にしとけばよかでしょうが」です。それは私の良心が許せませんし、正義ではないので、K様のせっかくの気持ちでしたが、お断りをして、その巡回後、息子様にご連絡をし、もらわなかったこと・もらえないことをお伝えし、息子嫁様へも謝罪をしておきました。息子様方も承知のうえで、「本人が気が済まっさんけん、”断らるっよ“って言いつつ買ってやらなんだったいね~」と、逆に謝られました。
お年寄りは、感謝の気持ちを物に代えられる傾向にあります。また、あかつきは年金等の収入が少ない方が多い施設です。物に代えるお金さえないはずなのに、無理して買う方までいて、、、。職員たちにもきっと、このようなことが起きているはずです。ご入居者方の折角の気持ちなものですから、断りにくいとか思ってしまっているのではないかと、ちゃんと断れているのか、、、私の場合、“断る勇気”を持って対応し、嫌われても仕方ないと思いながら「いただけません」ときっぱり言っています。今回、K様には、「感謝の気持ちは“いつもありがとう”と言葉にしてくれるだけでうれしいんですよ!」と。少しだけプリプリと怒りながら、“おやすみなさい”に応えてくれませんでした。
私が入職1年目の時、仲の良かった学校の同級生が市内の老健で働いていました。同じように夜勤時にご入所者から果物をもらってくれと、感謝の気持ちを伝えられ、「もらえないんですよ」と言いながら、受け取ってしまったらしいんです。そうしたら翌日、夜勤明けで帰宅していたところ、事務長さんから電話が入り、「おまえ果物をもらっただろう」と言われ即首だったと連絡くれました。彼はそれ以降、福祉の仕事をしていません。もらってはいけないとわかっていて彼はご利用者を想ってもらってしまった。結果そうなるとは思っていなかったみたいですが、、、厳しい話です。「やりがいがあるようでないわ!」といった彼の言葉を記憶しています。
翌週、誕生日前日が宿直でした。日をまたいで、職場で誕生日を迎えました。K様の日課で早朝から、玄関リビングの器具で血圧測定をご自分でされるのですが、宿直明け(誕生日当日)の早朝、いつもより早くリビングに来られて(4時50分ごろ)測定中のK様。私が朝刊を取りに外に出て戻ってきましたら、「誕生日おめでとう!!!いくつになったの?」と、いつになく大きな声で「いつもお世話になってます!」と、感謝の気持ちを言葉で伝えてくれました。K様の肩を軽くポンポンと触りながら、「ありがとね~!」と返しました。本当にこんな事でうれしいものです。
ところで誰だろう?私の誕生日をK様に教えたのは、、、誕生月ぐらいまではまぁあるけど、誕生日までご存じでした。“俺の個人情報、勝手にばらすなよ!”いらぬストレスをK様も私も受けました。
あかつき・施設長・中村猛