あかつきの実践ブログblog

「教えること」中村🍀

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私が剣道をしていたお話はよくしていますが、中学時代は2年夏からキャプテンでした。キャプテンの仕事には、後輩たちの基本動作を教えたり、気づいた欠点を伝えたりしながら、部全体の底上げをしていく役割がありました。”教える”という立場でいつも思っていたのは、2年より1年の方が教えがいがあるという事でした。単純に2年は少し強くなってきていたり、自分の考えも出てきていたりして、素直に吸収してくれません。この剣道部では私が一番強かったことと、若干ヤンチャな先輩だったので、私の言うことは聞いてくれていましたが、中には、3年より強い後輩もいたため、教育係は私だけでした。一方、これが1年だとまるで違いました。ちょっと前まで小学生だったので体つきもまだまだ小さく、上級生よりも強い子はいません。中学に入って剣道を始める子も多かったので、素直に聞いてくれますし吸収も早いです。ですから私を中心とした3年生全体が教育係になっていました。

2年と1年の大きな違いは、当たり前のことをやるかやらないかで、我慢してやればもっと伸びるのにやらなくなる2年。例えばの話、100mを10秒で走る人を教えるのは大変ですが、30秒かかってしまう人(極端ですが)は、まじめにやれば15秒程度は秒数が縮まるでしょうから、そこまでを教えるのは簡単です。そして教えがいがあるのです。それに長けていってしまうと、教えられることへの反発も出てきたり、伸び率は少なくなってきますので、成果が簡単には伴わない。そうすると本人に任せてしまう部分も多くなり、関わりが少なくなってしまいます。逆に放っておいた方がいい場合もあるでしょう。

部員のなかには、剣道がまだ弱くて当たり前の後輩たちに教えもせずにそれをそのまま言い放ち、長けていることを傲慢にも自慢したりしている者がいました。2年では一番強くて、Aチームのレギュラーを取れるレベルの後輩でした。私が卒部するとき、次のキャプテンの指名を別の3番手ぐらいの子にしました。当然ながら気配りができてそこそこ強く、リーダーとしてベストな子でした。その時この1番手の後輩が、「何で俺がキャプテンじゃないんですか?一番強いやつがキャプテンになれるんじゃないんですか?」と反発してきましたので私は、「お前にキャプテンは務まらん!教育係としてここにいるまだ伸びしろの沢山ある後輩たちから、まともに慕われていないだろ!」と一喝した記憶があります。上級生というか教える側の立場というのは、自分も当然ながら頑張らないといけないのですが、ここで言う部活、他の表現で言うならその組織をうまく向上させていける人達でないといけないと思っています。私が中学を卒業するころには、この一番手の後輩は退部したそうです。剣道を何のためにやっていたのだろう…

教えるという事は難しいことではありますが、教える人がいかに相手の目線に立てるかが大切だと思います。自分と相手は違うものです。思っているほど自分と同じように相手は出来ないものです。そして教える人の教え方次第で相手のレベルも変わってきます。教えられる事柄を相手が楽しいとか好きになれると尚更伸び率は上がります。教える人の責任は重大なのです。

もちろん教わる側の受け身の姿勢も大事です。教わる時点では目上の方からの指導であり、経験者からのアドバイスであるので、真摯に受け止めなくてはいけません。自分の考え方とのずれがあったとしても、”そういう考え方もあるんだな”と柔軟に受け止めるべきです。

私たちは後輩たちに何をどうやって受け継いでいってもらいたいか。先輩として、上司として、親として、場合により同僚へ。教える側の責任を難なく果たせている人は多くはないと思います。私もそのひとりですが、いくつかの経験で得ていることは、”人を理解すること”が、教えることの入口なんじゃないかと思って、その場面場面に関っているつもりです。

あかつき・施設長・中村🍀

2/26のあかつきの上空。春の空にはまだまだですが、このどこかで”ひばり”が鳴いています。高い所を飛んでいるのでしょう。見つけるのは困難でしたが、間違いなくひばりが鳴いています。春の訪れです。