軽費老人ホームを、簡易的にご説明する際に「職員が常駐するアパート」というように表現をすることがあります。
それは日中であればいつでも外出ができたり、事前の申し出があれば外泊もできるなど、【自由】に施設を出入りすることが可能という特徴がある為です。
事実、特別養護老人ホーム等と違い、玄関は日中オープンです。
夜間もお部屋の窓等から出ようと思えば出れてしまいます。
これの理由としては、軽費老人ホームに入居する際の条件のひとつに、”日常生活が自立されている60歳以上の方”というものがあり、且つ身体拘束は基本的に禁じられている為です。
しかし、年齢を重ねる毎に体力や認知機能は低下していきます。
「買物に行かれて帰り道がわからなくなり、施設に帰ってこれなくなる」という可能性もあります。
ある日、入居者の方よりご意見がありました。
「認知症の人が外を散歩する時は、大きい名札をぶら下げるようにしたらどうなの?そうしたらもし迷子になっても、施設に連絡してくれるかもしれないし。」というものでした。
このご意見、すごくよくわかります。合理的でリスクヘッジにもなると思います。
ただ、問題はその人の人権を蔑ろにすることです。
少し極論ですが、「犬が迷子になった時のために首輪を巻いておこう。」という考えと同じように感じます。
認知症という症状はあれど、人権があります。
少なくとも私は、お散歩をする時に名札なんてぶら下げたくありません。
ご意見を下さった方も、きっと同じだと思います。
しかし、リスクマネジメントは必要です。
実際に敷地外に出て帰り道がわからなくなれば、天候等によっては命に関わる問題です。
入居者の方の人権を守りつつ、安全なお散歩ができる環境を整えなければいけないなと感じました。
介護:竹澤