あれは二ヶ月程前、祖母の一周忌で実家に帰った時の出来事です。
親族が集う中、叔母が口を開きました。
「じいちゃん ばあちゃんは、本当に偉大な人だった。
人には優しく、でも自分にはとても厳しい人。」
このように話し始めると、その場にいた私の父も同じように口を開きました。
「二人からは、仕事をする上で大切な事を教えてもらった。半端な気持ちじゃ
仕事は出来ない。その教えがあったから今でも自営の仕事を続けている。」
私は父のその言葉を聞いて、私が二十歳の時、白川の里に就職が決まった際、
実家の祖父母に報告に行った時の事を鮮明に思い出しました。
実家の庭の前に二人で座っていた祖父母に就職が決まった事を伝えると、
いつもの様に優しい満面の笑みでお祝いの言葉を伝えてくれました。
しかしその後、いつもは見ない厳しい表情でこのように言いました。
「仕事をする上では、自分の得は考えてはいけない。相手の人、周りの人の
得だけを考えて仕事をしなさい。」
何故あの時、厳しい表情であの言葉を言ったのか、その時の私には分かりませんでした。
しかし、それから十数年。この仕事を続ける中で祖父母が言った言葉の意味を理解出来るようになり、そしてその言葉が今の私の支えとなっています。
「自分の為ではなく、相手の為。」
この事を教えてくれた祖父母への恩返しとして、これから先も祖父母からのこの教えを
大切にしながら仕事に励んでいき、チームと共にひとりのいのちに みんなでよりそっていきたいと思います。
東館 係長 森山 真理子