今年の夏は暑かったですね。やっと涼しくなって秋らしくなってきました。
今日は、私のユニットの入居者のA様の話をしたいと思います。
A様は地震後、自宅から入居された方で、当時は「家に帰る」「畑にいかなん。野菜を植えなん」と家と畑を心配し、1日に何度も施設内を歩かれていました。そんな毎日を過ごす中、徐々に白川の里の生活に慣れ、B様というなじみの友達もでき、穏やかな日々を過ごされるようになりました。
そのA様が、夏場から体調を崩し居室で横になる時間が長くなりました。私たち職員は、「A様にできることは何だろう?」と考えました。時には、B様やお嫁様にも相談しました。
B様からは「花が好きじゃったけん花を飾ろうか」と提案してくださり、職員と一緒に花壇の花を摘み、居室に飾りました。
また、A様は野菜作りを生きがいにしていたので、「野菜を見たら元気がでるかも!?」と考え、お嫁様に自宅で採れた野菜を持ってきてもらえないか依頼すると、お嫁様は季節の物を面会の度に持ってきて下さいます。
かぼちゃ、からいも、里芋、ススキなどに囲まれた様子は、まるで居室がA様自慢の畑になったようでした。日々、体力を消耗していくA様ですが、その光景を見て、誇らしげで嬉しそうな表情を見せて下さいます。お嫁様は毎日のように顔を見に来られては声をかけ、手を握りあい、互いにうなずき合われる姿に、家族の深い愛情を感じます。
また、違う部署の職員も、かわるがわる居室を訪れては声をかけてくれています。人一倍がまだし者で、意志の強い方ですが、その分寂しがり屋で怖がりなA様にとって、どんなに心強いことか・・・。
みんなで寄り添えている、また、人は一人ではないと感じる時間を過ごすことができて、私自身もA様を通して深い繋がりを感じる事ができました。
今後もA様らしく過ごして頂けるように、ご家族、ユニットの入居者、白川の里職員のチームで寄り添い支えあっていきたいと思います。
西館主任 林 亜由美