5年前の4月、忘れたくても忘れられない日である熊本大地震。
震度7を2回と数か月間にわたる余震のたびに胸のドキドキと涙が出る日々でした。その時、私は住宅型有料老人ホームに勤務していました。
前震と本震が夜だった事もあり、施設に連絡すると「怪我人もいないから大丈夫」との事で、翌朝出勤するとご利用者に怪我はないものの、部屋の物が散乱していました。
とあるご利用者で、交通事故で脳挫傷となり要介護5の判定を受けている方がいらっしゃいました。
職員が交代で様子を見に行き「大丈夫ですよ」と声掛けを行っていましたが、片付けなどやらなければならない事も多くあり、次第に「業務があるから」と言い訳をし訪室する回数が減っていきました。
1ヶ月ほどして落ち着き始めた頃、その方の部屋に行き「○○さん地震怖かったですね。」と声を掛けると、表情が変わり涙が流れてきました。それを見た時、心の底から申し訳ない事をしたと感じました。
声かけを行い、オムツ交換をし、日常的なケアは行っていました。しかし、その方に寄り添い安心できる環境を提供できていなかったのだと後悔し、孤独に感じさせてしまった事の重大さを身に染みて感じました。
同じ事を繰り返さぬよう、今後どうすれば「寄り添ったケア」をできるのか考えながら、白川の里での業務に励みたいです。
看護職 西村 加代子