今年の7月28日、熊本で地震がありました。地震が起きた瞬間、10年前の熊本地震の記憶が蘇りました。
地震が起きたとき、長男は野球の練習でグラウンドにいました。数名保護者の方もいたのでグループLINEで
すぐに無事を確認することができ、少しホッとしました。長男も次男も「怖かった」と話していました。
余震も続き、その夜はなかなか眠ることができませんでした。次男が通っている保育園も地震の被害の影響で
翌日は基本的に休園となりました。
しばらくして、長男に地震が起きたときのことを聞いてみました。
「グラウンドにいたとき、どこに避難したの?」と聞くと、「グラウンドの真ん中」と答えました。
確かに、グラウンドの真ん中であれば、周囲に建物や木などがなく、地割れなどがない限り、比較的安全な場所です。
でも、地震が起きたのは練習開始前。木の下にいた子や、周りを歩いていた子、部室に行って準備していた子など
バラバラでいたはずです。長男だけでその判断が出来るとは思えませんでした。
そこで、「誰かが『グラウンドの真ん中に行こう』って言ったの?」と聞くと、
「うん。〇〇先輩(6年生)が『グラウンドの真ん中に行くぞ』って大きい声で言った」とのことでした。
そして、そのときいたみんなでグラウンドの真ん中に集まり、しゃがんで、地震が収まるまで待っていたそうです。
その話を聞いて、私はとても感心しました。
地震を経験したことがない子どもも多い中で、大人が近くにいない状況でも、自分たちで「今、どう動けばいいのか」
を考え、声を掛け合い、行動することができたこと、そして、周りにいた子どもたちも、その声を聞いて一緒に行動する
ことができたこと。
これは、「たまたま」だけではなく、普段からの経験や、周りを見て行動する力、誰かの言葉を聞いて自分の行動に
つなげる力、そうした一つひとつの力が、いざというときの行動につながったのではないかと思いました。
療育の中でも、私たちは子どもたちに「先生の言う通りに動いてもらう」だけではなく、「次はどうする?」、「困ったとき
はどうする?」と、自分で考える経験を大切にしています。
もちろん、災害時には大人が安全な場所へ誘導することが大切ですが、いつでも大人がそばにいるとは限りません。
だからこそ、普段から「話を聞く」「場面に合わせて行動する」「困ったときに助けを求める」「どうしたらいいかな?と
考える」といった経験を訓練時や日々の生活の中で積み重ねていくことが大切なのだと思います。
今回、我が子の姿を通して、「子どもには、自分たちで考えて行動する力がある」ということを改めて感じました。
そして、その力は特別な場面で突然身につくものではなく、日々の小さな経験の積み重ねによって育っていくものなのだと思います。
療育でも、子どもがすぐに答えを出せるように大人が先回りするのではなく、「どうしたらいいかな?」、「先生は何と
言っていたかな?」と一緒に考える時間を大切にしたいと思っています。
子ども自身が「自分で考えて、できた」と感じる経験、その積み重ねが、いつか子ども自身を守る力にもつながって
いくのだと思います。
今回の地震を通して、改めて防災について考える機会にもなりました。
そして何より、怖い状況の中で声を掛け合い、考えて行動した子どもたちの姿に、成長と頼もしさを感じました。
「子どもだからできない」ではなく、「子どもだからこそ持っている力を、どう育てて発揮出来るよう促していくか」
これからも療育の中で、そんな視点を大切にしていきたいと思います。
児童発達支援センターおひさま 児童発達支援事業 服部