白川幼稚園の実践ブログblog

「その理由は? ~想いを伝え合う~」

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「その理由は? 〜想いを伝え合う〜」
5歳児 さくら組 くまGr 秋田

朝晩涼しくなってきて、秋の訪れを感じるようになってきましたね!
秋といえば…、「スポーツの秋!」10月には、さくら組にとって、幼稚園生活最後の運動会があります。今年の運動会は、「自分たちで作り上げる運動会」をテーマに、運動会でどんなことをしたいのかを、子どもたちと話し合って決めています。
その中でも、「運動会でやりたい!」という意見が5、6人程で、悩んでいる種目が「玉入れ」です。
子どもたちから出た意見は、実際にやってみながら、どうするのかを決めています。

そして、ある日の玉入れでのことです。
この日は、いつもより玉入れをしたい!と言う子どもたちの人数が多く、チーム分けがなかなか決まりません!

Yちゃん:「男の子と女の子で分かれるのは?」
子どもたち:「いいね!」「そうしよう!」
Aくん:「え〜!!男と女混ぜこぜが良い!」
Hちゃん:「え〜!女と男で分かれようよ!」
Aくん:「混ぜこぜが良い!!少し強めの口調になったAくん。
Yちゃん:「じゃあ、その理由は?」(普段の話し合いの時から自分の思いや考えを話す時には、理由まで伝えるようにしています。)
Aくん:「だってさ、女と男混ざってた方が楽しいじゃん!」
Rちゃん:「なんで混ぜこぜの方が楽しいの?」
Aくん:「え?いつもお外で鬼ごっことか増え鬼とかする時、女も男も混ぜこぜでしょ?その方が楽しいから!じゃあ、女と男で別れる理由は!?」
Yちゃん:「すぐに分かれるし、ちゃんとした玉入れって感じ!」
Aくん:「他の人は?どっちが良いの?」
周りの子どもたち:「女の子と男の子で分かれて良いんじゃない?」「すぐ分かれられるもんねー!」「俺はどっちでも良いよ!」「私もどっちでも良い!」「いつもチームとかで分けてるし、男と女が良いな〜!」と、それぞれ自分の想いを言いますが、ほとんどのお友だちが男の子と女の子で分かれるという意見ばかりです。
Aくん:「ぇえ〜!!混ぜこぜが良いのAくんだけ!?」助けて!と言わんばかりの表情で担任を見るAくん。
子どもたち同士で想いを伝え合っている時には、見守るようにしており、この日も子どもたちの様子を見守っていたのですが、Aくんからの眼差しに、「他に混ぜこぜが良い人いないのかな。」と言うと…、
Aくん:「ねぇ、他に僕と一緒の人いない!?」
すると、今まで黙っていたAちゃんが静かに手をあげました。
Aくん:「うわぁ!いた!Aちゃん!一緒!理由は?」
すかさず理由を聞くAくん(笑)
Aちゃん:「・・・。」
Aくん:「ちょっと考える?僕と一緒の理由でも良いからね!」
Aちゃんは、黙ったままでしたが、少しニッコリ笑ってうなずきました。
Yちゃん:「AくんとAちゃんは、混ぜこぜが良いのね!オッケー!」
Rくん:「半分に分けないといけないから、とりあえず、くまグループの人数を数えるって言うのはどう?」
Rくんの言葉で、みんなが一斉に人数を数え始めます!
Rくん:「ちょっと!動いたら全然わからないんですけど!」
Aくん:「僕が男の子数えるから!誰か女の子数えて!ねぇ、動かないで〜!」
Sちゃん:「女の子数えるね!」
Hちゃん:「女の子白帽子にしよう!」
Aくんが男の子の人数を数え、SちゃんやAちゃんが、女の子の人数を数えた結果、女の子11人、男の子12人でした。
Aくん:「ほら〜、男が多いじゃん?同じ数じゃないとちゃんと勝負にならない!」
Rくん:「でも、運命って分からないんだよ!勝つか、負けるかは、誰も分からない!」
Rちゃん:「でも、(人数)多い方が絶対強いじゃん!」
Aくん:「だから〜、男から、女の子の方に誰か行かないと!誰が行く?」

この時点で、話し始めて15分程が経っていました。だんだん疲れを見せ始めるお友だちも出てきています。

Tくん:「ねぇ、僕やっぱり玉入れしない」
Aくん:「ぇえ!じゃあピッタリ!?」
Rくん:「本当にいいのね?Tくん?これで始めちゃうよ?」
Tくん:「だって、長い。お腹すいたし、見ときたい!」
Hちゃん:「私もやっぱやめる!」
Aくん:「ぇえ〜!?!?また1人減っちゃうじゃん!」
Yくん:「見とくって言った人〜!!やっぱり誰かしない?」
子どもたち:「しなーい!」「私も見とく!」「僕もしない!」「あと1人したくない人いないの?」
Aくん:「やっぱりしたくない人いない?」
黙って顔を見合わせる子どもたち。
Aくん:「じゃあ、もう僕抜けても良いけど、、。」
Rちゃん:「本当にいいの?」
Yちゃん:「我慢してるの?」
Aくん:「だって、、!」
Yくん:「やりたいなら、やれば良いのに!」
Rくん:「もうさ、1人ぐらい良いんじゃない?ダメ?」
子どもたち:「早く玉入れしたいしね〜!」「お腹すいたよね!」「もう始めよう!」
Aくん:「よし!じゃあ、始める?先生!決まった〜!」
と、その時、急に泣き出すHくん。

Kちゃん:「なんか、Hくん泣いてる!」
Yくん:「え、どうしたの?」Hくんに近づき、話を聞こうとしています。
Yくん:「玉入れやりたくなかったんだって!!」
Aくん:「やりたくない人は、やらなくて良いんだよ?」
Hちゃん:「大丈夫!大丈夫!やらなくて良いから!応援組になろう!」
Rくん:「ちょっと、みんな!もう始めるんだけど、他にしたくない人いない?今言わないと始まっちゃうよ!」
Aくん:「ねぇねぇ!男のHくんがしないってことは、女と男の数一緒になったじゃん!!うわあ!決まりじゃん!」
子どもたち:「やっとだ〜!」「決まった〜!」「良かったね!」「先生決まったよ〜!」

そんな大喜びの子どもたちを見ると、綺麗に女の子と男の子で分かれています(笑)(あれ、混ぜこぜの話は?)と思いながらも、「本当にこのチームで良いの?」と聞くと、「良いよ!」「みんなで頑張って決めたし!」「なんかダメ?」と、子どもたち。「みんなが決めたことだから、みんなが良いなら、もちろん良いんだよ!」と言うと、「よし、玉入れするぞ〜!」と、大盛り上がりの玉入れでした♫

今回の玉入れでは、女の子と男の子で分かれる!という最初の話から、一周まわって、最後にはやっぱり女の子と男の子に分かれるという結果となりましたが、結果はどうなってしまっても、20分以上も、お友だち同士で自分の想いや考えを出し合った時間を大切にしたいなと思っています。
自分の考えを伝え、お友だちの想いも聞きながら、どうしたら良いのかを考えて、自分たちで考えた事を実際にやってみることで、上手くいった時には、喜びや自信に繋がり、上手くいかなかった時には、もう一度話し合うきっかけに繋がります。
これからも、様々な活動や遊びの中で、子どもたち同士で想いを伝え合う時間を大切にしながら、お友だちとのつながりを深めていけたらと思います。