白川の里の実践ブログblog

KISEKI

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昨日、西館ご入居者のご家族が面会に来られた時の出来事です。

息子様が最近施設で看取りをすることになったお母様に会いに東京から駆けつけて下さったのですが、「自分は母のために何もできないから・・・」ととても残念そうにされていました。

 

その息子様は音楽関係の仕事をされており、ご自身も歌やピアノを演奏をされることを聞いていたので、職員が「ぜひお母様の為にピアノを弾いていただけませんか?」とお願いしました。息子様は「そんなことでいいなら・・・」と快く引き受けてくださいました。

 

お母様を、2階のラウンジにお連れして、ピアノを弾いている息子様がしっかり見える位置に案内しました。息子様の演奏で「上を向いて歩こう」「川の流れのように」「糸」と、お母様が大好きだった楽曲を、お母様を見つめながら丁寧に弾き語ってくださいました。皆が美しい歌声とピアノの音色に聞き入っていたその時、小さな歌声が聞こえました。

 

それは、病気で身体も動かせず、ほとんど声をだせる状態でないにも関わらず、息子様の演奏にこたえるかのように発せられたお母様本人の声でした。傍らにいた娘様も「あっ お母さんが歌ってる!」ととても驚かれました。

 

私達職員は奇跡ともいえる貴重な経験をさせて頂いたこと、このような貴重な瞬間を共有させて頂いた感動で胸が一杯になると同時に、ご本人様とご家族への感謝の気持で胸が熱くなりました。

 この仕事をしていて本当に良かった…心から思える出来事でした。

 

西館 係長 森園順子