白川の里の実践ブログblog

たからもの

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 母が83歳のこの世の人生舞台を終えて寿命を全うすることができました。

 女性としても気丈な気質な生き方で、県職員から退職後も特養で施設長として70歳過ぎまで働き続けた元気な仕事人間の母ですから、昨年の11月に不治の病を知っても、最後まで元気に長年の友人数人にも会いに出かけていました。

また死ぬ間際まで、自らの亡くなった後の事までも心配し、その後の対応をどうしてほしいかと父とつたない言葉で話し伝えていました。父は口数少ない厳格で頑固な人柄で、何だか温かな家庭とは程遠く、父と母が楽しそうに朗らかに話し合っていた記憶はありませんが、昭和一桁生まれの親をお持ちの方ならばお分かり頂けるような両親だった事を懐かしく思い出します。

そんな母の最期は病院で看取ることになり、悲しく辛い乍らも白川の里での看取りの経験があったから、落ち着いて、父とも相談し助け合いながら無事に見送ることができました。 

 母亡き後は、強かった筈の父が、急に涙もろくなり、一回り小さくなったように感じてしまいます。寄り添い支え合う相手が居なくなることで計り知れない程の失望と悲しさを表現している今の父は、いつまでも母の仏壇の前で座り遺影を見つめ続けています。父は母の事ばかり話しています。

 両親は本当に愛し合っていたのだろうか?とこれまで思ってきましたが、父は心底母を信愛していたんだなと、母の死を通して知ることが出来、また無口な父でしたが、意外過ぎるほどの優しさの人なのだとこの年になり初めて分かりました。

 私は、このことが心の宝物に成りました。

今後は父を支える事が、私の使命だと思います。

そして、この経験を通して

「ひとりのいのちにみんなでよりそう」ことのできるこの尊い仕事に携われることに感謝し、自らの経験を通して今後もご利用者やご家族の気持ちに寄り添えるよう、支援していきたいと思います。

 

居宅介護支援事業所    春間 久美