若草学園の実践ブログ blog

「声」を聴くということ    

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 保育所等訪問支援で保育園訪問をした時のことです。

朝の外遊びの時間に、クラスごとに折り紙で作った虫を園庭のいろんな場所に隠して別のクラスが探すという遊びをしていました。子ども達は、遊具の隙間や上、植木の中等思い思いの場所に沢山隠していました。いざ、探す番になって先生が「3つ探して持って帰る」と虫探しのルールを話されました。一人の男の子A君が一生懸命園庭を走り回り、折り紙の昆虫を探していました。なかなか好みの折り紙が見つからないのか、手にはまだ何も持っていませんでした。

周りでは、探すのが終わったのかブランコに乗って遊んでいる子ども達もいました。

B君がA君を呼んで「こっち見て」と帽子を被せた植え込みを指さしました。A君は走ってB君の所に行くと、B君がさっと帽子をとって見せました。植え込みの中に折り紙の昆虫があったのでA君が取ろうとすると、急にB君がA君の胸辺りをドンと押してB君がサッと折り紙を取りました。A君はその虫の折り紙が欲しい様子でした。会話はなかったようですがB君は、自分が隠した折り紙をA君に探させて反応を見たかっただけのようでした。A君は、折り紙を見つけて「やったー」という気持ちだったのに急に押されてビックリしたのと欲しい虫の折り紙が手に入らず、気持ちが落ち込んでいる様子でした。泣くことも怒ることもなく、そっと保育士さんの横に行きペトっとくっついていました。保育士さんは、「A君、みつかった?」と声かけられA君は頭を横に振っていました。

この様子を見て思ったことは、A君は、日頃はおしゃべりが多い印象でしたが日常生活の中で思いを言葉にして伝えることが、どれだけできているのだろうか?ということと、慣れた保育士さんに安心感を求めてスキンシップをしていたことから、子どもは「声」だけが気持ちの表現ではないということでした。

 

 研修や現場での経験から、人の支援をする上で「対話」の大切さを学んできました。言葉の表現でだけではなく、話の内容や表情、動き等その人が表現していることを感じて対話することで一方通行にならないようにお互いの反応を返していくことが大切になります。

子どもとの対話を通して「子どもの意思決定を迫っていないか、急いでしていないか、待てているのか」を大人の立場から気をつけないといけないと思います。

「人(こども)の声は、聴きたいように聴こえる」と聞いたことがあります。

「こうであってほしい」「こうであるはずだ」「こうあるべき」という大人(社会)の価値観・期待があると「私たちが聴いているのは本当に子どもの声?」と一呼吸おいて、聴こえ方のかたよりが子どもの「声」を変えさせる圧力にならないようにと思います。

おひさまの中には様々な職員がいて、チームで療育をしています。

保育士・児童指導員・言語聴覚士・社会福祉士・公認心理師・作業療法士・介護福祉士

支援員・栄養士等専門性が違います。また、グループ療育・個別療育等の直接処遇職員と訪問等の間接処遇職員の支援の距離感の違いや事業所の組織の中の管理職・指導職・ベテラン・中堅・若手など立ち位置の違いがあります。

それぞれの専門性・支援の距離感・立ち位置の違いによって聴こえてくる「声」が違います。

『子どもの「声」を聴く耳は沢山あるほど良い

 その専門性・支援の距離感・立ち位置だから聴ける「声」が必ずある

 子どもに触れて聴こえたこと、感じたことには意味がある

 それぞれに聴こえた声を持ち寄って子どもの代わりに対話する』を大切にしています。

職員の対話の場として様々な形で会議があります。少人数であったり、短時間だったり申合せのミーティングだったり、テーマも色々です。

そこで大切になるのがチームで声を聴き続けるということだと思っています。

しかし、おひさまでも、時にはチーム全体で子どもの声から遠ざかっている時もあります。

例えば、困難ケースの時や「やってもやっても成果が出ない」と感じる時、子ども以外の(大人の声)に注意が向いている時、毎日の忙しさに流されている時などです。そんな時に、お互いの「違い」をリスペクトしながら支え合って子どもの「声」を聴いていく事が大切だと気づいた人から自然と「真ん中に子どもがいるよね」と声が上がります。「あ、そうだったね」と共感しあうところにスタッフの頼もしさを感じます。そして「この人たちと一緒に仕事が出来てよかった」と思います。

 

人の「声」を大切にするために学んで大切にしていることがあります。

『話すと聞くを分ける。話し切る、聞き切る。

「わからない」という態度から生まれる交通としての水平な対話を心がけるパワーを持った側は少なくとも複数名で応答して、フラットな状態を保てるようにする。

他者は常に自分の想像を超えている。他者を分かり切ることはできない。

自分自身も自分が思っていることを語りつくすことはできない。

話しながらも変化していく、だから永遠に対話が続く。

対話をすると誤解や解釈が減って「あの人をそう思っていたんだ」「そういうことだったんだ」とどんどん理解する。どんどん理解してどんどん問題が減り、一方的な意思決定も減る

自分が聞く側だと意識すると相手の言葉を途中で遮って自分なりの解釈をすることなく聞き切ることで理解が進む。ミーティングでは、一方通行ではなく全員が水平の立場になるようにして1人に向かっている矢印を全部外側の他人に向けて「私たち分からないので教えてもらえますか?」という態度で一人ひとりに聞き、全員が話す。』という内容です。

色んな人と協力しあっておひさまの仕事をできることに感謝して、またなんとか頑張っている自分の体力も認めながら日常を大切にしたいと思います。

児童発達支援センターおひさま  吉田広子