若草学園の実践ブログblog

振り返ってみて……

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 今から30年以上前の話になりますが、私が社会人になり初めて勤務したのは、知的障害児の入所施設で、県内全域(他県になります)から親元を離れ施設で生活する子ども達の支援をしていました。対象の子ども達のほとんどがIQ測定不能の重度・最重度の子ども達で、知的障害・ダウン症・フェニルケトン尿症・自閉症(当時は自閉症の子どもさんの中には知的障害と診断されていた方もいました)・てんかんの疾患や、離島に自宅があり医師がいない為、麻疹(はしか)に感染し重篤となり脳炎を起こした事から、麻痺と精神発達遅滞の後遺症が残ってしまったケースもありました。また、現在妊婦さんに注意が呼びかけられている風疹に母親が感染した事で、聴力・視力を失い精神発達遅滞の後遺症を背負い誕生した子どもさんもいました。

 

 私自身、親元でぬくぬくと愛情を受けながら育ち、親元を離れて暮らす事など考えてもいませんでした。子ども達は県内全域から入所している事や、重度の知的障害・行動障害がある事から、自宅への帰省も年に数回でした。スタッフは愛情を持って接し普段は私たちスタッフに甘え、言葉もなかなか通じない子ども達でしたが、保護者さんが迎えに来ると私たちの目の前をスーッと通り抜け一目散に保護者さんに駆け寄って行きました。何とも寂しい気持ちになりましたが、“親”という存在には叶わない事を感じ、本当に親の存在に敬服するばかりでした。親子というものは、親が愛情を与えるだけでなく、子どもから受ける親への愛というものがある事を知る事が出来ました。

 

 現在その施設は、子ども達が成人しても行き場がなく児童施設なのに成人の方々が続けて入所している現状もあり障害者支援施設に変わっています。当時一緒に勤務していた後輩が今も勤めており、今年頂いた年賀状に「在職30年になりました。」と書かれていたので「頑張ったね。」を伝えたい事と、施設が今年創立50周年を迎える為、施設見学も含め会いに行きたいと思っているところです。

 

                     相談支援センターいちばん星 山田