若草学園の実践ブログblog

約束=時間を守る

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人が健康に暮らすためには生活リズムを整えること、つまり決まった時間に起き、食べ、排泄し、活動して寝るといったことが大切であると言われています。1日は24時間ですが、人の体にも一日のリズムを刻む体内時計というものがあるそうです(体内時計の一日は実際の時計より数十分ほど長いため、朝の太陽の光や食事をすることで修正しているそうです)。これに従って規則正しい生活をしていれば健康であると言えますが、逆にこのリズムを乱すと体調を壊すもとになると言えます。

学園生活を送っている子どもたちの生活リズムも毎日決まっていて、平日は6時の起床から始まり、身支度、朝食、登校、下校後はおやつ、夕食、入浴、就寝というように一日の生活時間が決められています(登校時間の違いにより多少時間が異なります、休日の起床と就寝はやや遅めとなっています)。一日の流れは表にしてみんなが目に付く場所に掲示し、放送でも知らせ、個別に声掛けするなどして生活時間が習慣として身につけられるように支援しています。毎日の生活でこの時間に従った活動が身につき自主的に動ける子もいれば、なかなかできない子もいます。中でも子どもたちが楽しみにしているのが自由時間です。この時間は各自が自由に使えるとあってテレビを観る、ゲームをする、音楽を聴く、一人でゆっくり過ごすなど様々です。しかし、好きなことに熱中するあまり決められた時間をオーバーしてしまう、友達とのチャンネル争いやおもちゃの取り合いで喧嘩になってしまうといったケースもあります。今回はこの中でも時間を守るということに焦点を当てて考えてみたいと思います。

毎日の生活時間は決められており、子どもたちはそれを知らないという訳ではありません、しかし、子供たち(私自身を含め大人たち)でも目の前のことに集中(熱中)しすぎていると、「何時までに」ということを忘れてしまうケースがあります。また、子どもたちの中には、「ワーキングメモリー」(何か行動や作業をするときに、一時的に覚えておく記憶力のひとつ)が十分に機能せず、約束の時間を忘れてしまっていることも考えられます。いずれにしても、自分で時間を意識して行動することが難しい子どもたちが多いのが実情です。しかし、「時間を守る」ということは人が生活していくうえで、人から信頼を得たり、安心して過ごしていくために大切なことです。何より将来仕事をしていくうえで基本となることですから、是非身につけてほしいと願っています。

「時間を守る」ことができるようするためどうしたらよいのか、支援を行っていく際に気を付けているのが、時間を守ることは絶対必要だから、1分1秒でも遅れてはならないというような考え方ではなく、中には時間は分かっていて行動していても、片付けに手間取っている場合や途中で宿題をしていないことに気づき、そちらが気になって遅れることもあるということです。何より懸念されるのは、いつも遅れてしまうことで失敗体験が重なり自信ややる気を失わせてしまうのではないかということです。片付けをしていることや宿題をしていないことを思い出したということ自体は悪いことではなく褒められるべきものです。大切なのはどうして遅れてしまうのか、次回から間に合うようにするためはどうしたらよいのかを一緒に考えていくことだと思います。つまり、遅れないよう余裕をもって活動するためにはどうしたらよいのか、何を優先すべきかを理解することです。具体的には、子どもたちに気づかせる方法として、子どもたちの目につく場所に時計(各部屋に設置しているものを活用)やタイマー、時間や優先順位を書いたメモを置いておく、その時間を意識させるために、定期的にそのつど「あと何分」と声をかけて意識させるようにしています。何より大切なのは「あと何分で終わりだよ」と子どもたちに問いかけ、時間をどう使うかを自分に決めさせ「時間感覚」を身につけることだと思います。自分で決めたことなら言い訳はできないので、子どもたちは守ろうとするし、次第に自分で段取りをつけられるようになるものと信じています。…まだまだ時間がかかりますが、気長に支援を続けて行きたいと思っています。

 

入所部 治部田 均