若草学園の実践ブログblog

「自立への道」

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1年の締めくくりの3月。若草児童学園でも巣立ちの時を迎えます。

4名の卒園生と共に、1人の女の子が自立して学園を巣立ちます。

 

 Aさんは、一昨年の9月、色々な問題を抱え入所してきました。

当時、大津支援学校の3年生。明るくはきはきとした性格で、色々な問題を抱えているようには見えませんでした。問題を起こしたことでの学校の指導期間を経て、学校生活や学園での生活を楽しんでいました。現場実習も一般企業に決まり、もともと力も持っていた事から、とんとん拍子で就職も決まりました。グループホームも決まっていたのですが、諸事情から、入居出来なくなり、卒園後の住居が見つかりません。就職は決まっていますが、いきなりの一人暮らしも難しく、途方に暮れていたのですが、学園と児童相談所との協議の結果、措置延長として学園に残れる事となりました。今までに初めての事です。

 

 最長一年間の措置延長。働きながら学園で過ごし、自立に向けての準備をして行く事になりました。色々な準備期間を経て、昨年8月に、敷地内のプレハブ「エールハウス」(自立訓練棟)に引っ越しし、自立へ向けて本格的な訓練が始まりました。

 最初のうちは頑張っていた自立に向けての生活でしたが、慣れてくるとだんだん気持ちも緩み始め、携帯を持ったことも重なって、生活が乱れてきました。キャッシュカードからお金を下ろし、遊びに使ったりもしていました。掃除や洗濯も滞り、部屋はゴミ屋敷と化し、同時に体調不良にも陥り、仕事も休みがちになってしまったのです。職場からも、しっかり体調を戻し、気持ち新たに頑張って欲しいとの要望で、少し休んで体調を戻すと共に、自分を見つめ直す時間としました。

その間、相談員さん、障がい者就業生活支援センターの方、色んな方々の支援も受けながら、本人ともじっくり話をしていきました。生活が安定しないと仕事も難しい事、他の仕事への選択なども含め、時間をかけて話をしました。もともと働くことに関してはやりがいを感じていたようで、仕事はどうしても辞めたくないと言います。他の仕事は考えられないと。だったらこれからどうしたらいいのか一緒に考え、結果、気持ちを入れ替えて頑張るとの答えが出ました。正直、難しいのではとの思いもありましたが、本人で決めた事を応援していくことにしました。

 

 それからというもの、一日も休まず遅れず出勤しています。自転車で毎日8キロの道のりを。2月からは7時出勤となったため、毎朝6時過ぎに「いってきます」の電話コールがあります。2月はまだまだ寒く、6時というと真っ暗。そんな中、雨の日も風の日も、颯爽と自転車で通勤しています。職場でも周りの方々にも支えられ、楽しく仕事が出来ているようです。一度躓いたものの、本人にとってはいい経験になったかなと今になっては思えます。

 

 そんなAさんも、社員寮への入居が決まり、来週には引っ越しをして巣立っていきます。本人の頑張りが認められた結果だと思います。色々な事がありましたが、私も初めての経験として一緒に悩み、考え、成長できたかなと思います。これから引っ越しまで、電化製品を揃えたり、荷物を運んだり忙しくなりますが、楽しみながら準備を進めていきたいと思っています。

 

 Aさんとは常々話をします。一年間学園で過ごせた事、自立に向けて練習できたことは本当に良かったねと。それがなければ今の頑張りはなかったかもしれないと。支えてもらったたくさんの方々への感謝の気持ちを持とうと。Aさんもそのことはしっかり心に刻んだようです。これからも息詰まったり悩んだりすることがあると思いますが、そんなときの為に色々な福祉サービスを使う手続きを進めています。また、相談員さんも就業生活支援センターの方もついてくれています。職場の方も温かく接して下さいます。支えてもらえるたくさんの方々に感謝の気持ちを持ちながら、大切にしながら、頑張って欲しいと思います。学園からももちろん応援し見守っていきたいと思います。

      ファイト!!           入所部 松村