若草学園の実践ブログblog

「人を好きになることの大切さ」

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2020年度がスタートしました!

今日は、おひさまが大切にしていることについてお伝えしたいと思います。

 

 おもちゃを回して遊ぶ、ミニカーを一列に並べる…、こういった行動を数ヶ月以上繰り返している。お外遊びに誘っても一人で遊び、遊具を次から次に変えていく…等々、自分の外の世界、いわゆる『社会』に目を向けることが苦手な子どもさんがいます。

 保護者の方も「どうしたらいいのか分からない…」と言われます。

 私は、社会に目を向けさせるためではなく、まずは『人を好きになること』が大切であり、人を好きになれた結果、周囲に目を向けることができるようになり、人間関係を形成することができ、最終的には社会を意識できるようになるのではないかと考えています。

 子どもが同じ行動を繰り返す。これを『同一性保持』と云いますが、子どもは、私たち大人と違い、物事に対する新しいことへの受け入れやそれを応用するための経験が浅いために、決まりきった同じ行動をすることで「安心」していることがあります。

 幼児期から少年期になるまでの間、保育園、幼稚園や小学校等の集団生活の場において、いろんな経験を重ねていくうちに、受容できる許容量が増え、応用することができるようになっていきます。

しかし、中には同一性保持の行動がなかなか抜けない子どもさんもいらっしゃいます。そういった子どもさんの発達を促していくためには、人を意識する機会を作る必要がありると考えています。

 公園ですべり台をすべる。この行動一つをとっても人を意識するためのトレーニングができます。子どもがすべり台をすべって来たときの視線や表情を観察してみましょう。

すべって来たとき、お母さんと目が合いますか?

お母さんから「すごいね~、上手に滑れたね~」と評価を待っている表情をしていますか?

お母さんの反応を確認するような『間』がありますか?

 この『間』はほんの一瞬ですが、とても大切な時間です。この『間』が人に関心を持つという経験として記憶に残っていきます。

 私たち大人はこういった機会を多くつくっていかなければなりません。ただ公園で遊ばせるのではなく、遊んでいる子どもの行動一つ一つを言葉に出したり、身振り手振りで評価してあげましょう。

 子どもの遊びに付き合うのは体力も気力も必要です。自分の時間を犠牲にして…と思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、子どもは経験したがっています。くどいようですが、経験できる機会を提供するのは私達大人の仕事です。遊びは、テレビゲームや座ってするような遊びではなく、身体全体を使った大きな遊びが良いと思います。

 人を好きになるためにはどうすれば良いのか?という気持ちで、子どもの心を育てていくために、2020年度も保護者の皆さまと一緒に考えていくことができたらと思います。

 

児童発達支援センターおひさま

         河野 光輝