若草学園の実践ブログblog

丁寧な子育て

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皆さんは、このお盆休みをどのように過ごされたでしょうか?

私は、ほぼステイホームの毎日でしたが、

久しぶりに子ども達とゆっくり過ごせました。

 

8月13日には、朝から小学1年生の息子が

「今日は、おしゃれしよう!」と言いながら着替え始めたので、

どこも行かないのに何で?と思って理由を尋ねたところ

「だって…今日は、ひいじいちゃんに(お墓に)会いに行くから♡」

との返答が…(笑)

お墓といっても、家のすぐ裏手の、ほぼ敷地内にあるお墓なんです。

毎年、当たり前のようにしている鐘楼さんお迎えのお墓参りも

子どもにとっては、いつもと違う特別なことなんだなぁ〜と感じ、

仏壇に向かって静かに手を合わせる子ども達の後ろ姿を見ながら、

この日本の文化や風習をしっかり伝えないといけないなぁと

思ったところでした。

 

 

さて、療育は「丁寧な子育て」と言われていますが、

「丁寧な子育て」とは何かを考えた時、

私は毎回、ある利用者さんとそのご家族を思い出します。

 

私が新卒で初めて就職した、知的障がい者入所更生施設で出会った

ダウン症の男性(40代後半~50代)の利用者さんです。

(私は通所部門でしたので、在宅で通って来られていた方です。)

 

この方は、ご両親と自宅で過ごされていましたが、日中は私が勤めていた

施設に通所されていました。

こだわりも強く、頑固な一面もありましたが…

感性豊かで素直な方でもありました。

 

その方は、日頃は無口で自分のこだわりもあるため、

皆と同じタイミングで行動出来ないこともあったり、

施設の外周をお散歩する時に、皆が同じ方向で進むのに

一人だけ毎回、逆回りでお散歩するような方でした!(笑)

しかし、その方は…

玄関で靴を脱いだら、毎回、必ず靴を揃えられるし、

トイレに行ったら、必ず手を洗って、自分のズボンから

ハンカチを取り出して手を拭いておられました。

(人に言われなくても、自分でされていました。)

また、ご飯の前には手を合わせて「いただきます」

食べ終わったら「ごちそうさま」を言われる方でした!!

 

発達に関しては、個人差はあるものの、ダウン症という特性上、

ゆっくりとした成長をされてきたこと、

その利用者さんが、現在は70代位のはずなので、

福祉サービスや周囲の理解も少ない時代に生まれ、

ご両親も手探り状態で子育てをしてこられただろうことを思うと、

きっとご両親は、その方が小さい頃から

丁寧に(時には厳しく)、諦めずに…

一つ一つ教え続けてこられたんだろうなぁと思います。

そして、このご両親だったからこそ、利用者さんのこの素晴らしい姿

(スリッパを並べる、手を拭く…等、当たり前のことを当たり前にする姿)が

あるんだなぁと深く感動しました。

あの時の思い(感動)は今でも消えません。

むしろ、出産し、子育てをしている今だからこそ、このご両親の姿に

深い感動(尊敬)を感じています。

 

私の子ども達も特性があり、保育園の頃から、現在に至るまで(現在は、小学生)

療育にも通っています。

しかし、障がい(特性)のあるなしに関係なく、

子どもが将来、社会に出て困らないように、

人と上手く付き合っていけるように…

社会のルールやマナー、社会で生きていくために必要な力は、

今!この瞬間に!親である私が!(関わる人が!)

しっかりと伝えていく必要がある!ということを教えて頂いた、

親としてあるべき姿(丁寧な子育て)を見せて頂いた…

忘れられない利用者さん(ご家族)です!!

 

日本の素晴らしい文化や風習、伝統を伝えることも大事ですが、

まずは…

おひさまに来てくれている子ども達や我が子に、

日々の生活の中にある一つ一つのことを

丁寧に…(子どもが分かりやすいように、具体的に伝える)

諦めずに…(子どもが嫌がっても、まだ納得できなくても…諦めず)

(いつかは分かってくれる、いつかは出来るようになると信じて…)

伝え続けていきたいと思います!

これが、「丁寧な子育て」ということではないかなぁと、改めて感じました。

 

 

 

児童発達支援センターおひさま 河瀬