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「依存の反対語が自立ではない」

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昨年の秋頃、相談支援専門員の初任者研修がありました。その中で小児科医であり、東京大学先端科学技術研究センター准教授でもある熊谷晋一郎准教授の講義を受ける機会がありました。コロナ禍のためEラーニングでの受講です。

 

以下の文章は、熊谷准教授の講義を拝聴し、特に印象深いところを、私なりの理解と感想で記したことをあらかじめお断りさせていただきます。

 

「依存の反対語が自立ではない」ことを学びました。

どういうこと?

広辞苑によると、自立の意味は、「他の援助や支配を受けず、自分の力で判断したり身を立てたりすること」で、依存の意味は「他のものをたよりとして存在すること」とありました。

 

架空の話として、ビルの5階にいる時に地震が起きました。避難しようと思っても、エレベーターが止まり、大多数の人は、階段や非常用はしご、ロープを利用して避難することができました。階段が混雑していても、他の手段を考えることができるので余裕があります。

障がいがあり車椅子を利用していた人は、誰かが助けに来てもらうまで避難をすることができませんでした。助けを待つ間も不安です。

 

この話で考えてみると、大多数は、階段や避難用はしご、ロープの三つの頼られる手段があり、車椅子を利用していた人は、頼られる手段が一つしかありません。

依存できる人や物と多く繋がっている方が、選択肢が多いので、依存先に縛られることが少なくなります。一方で依存できる人や物が少ないと、依存先の都合に合わせなければならなかったり、当てが外れた時に代替手段がなくなり、依存先の影響を受けやすくなります。

依存する人や物が極端に少ないと、依存先がアルコールや薬物に繋がりやすくなることも理解できます。

 

依存できる関係を沢山築いていくことが自立につながり健全な状態であることを学ぶことができました。

他機関とも連携して、なるべく沢山の依存先(社会資源)を開発して、必要とする人のニーズに合わせて社会資源を繋いでいけるよう方策を考えていきたいと思います。

 

                     相談支援センターいちばん星 はんざわ