若草学園の実践ブログblog

「社会へ」

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先日は雪が降り続いて雪化粧になったり、そうかと思えば春の陽気になったり。寒暖の差が激しい日々ですが、梅の花も咲きほころび確実に春は近付いています。

3月は別れの季節。学園からも9名の子ども達が高校を卒業し、社会への一歩を踏み出そうとしています。今年度一年はコロナウイルスとの戦いで、窮屈な日々を過ごして来ましたが、確実に自立に向けて成長の様子を見せてくれました。

 

 先日の夜の出来事。小学生2人がけんかになり揉めている所、高校3年生のH君が仲裁に入ってくれました。一生懸命話しをしてくれているので、近くで様子を見ていると、日頃からなかなか非を認めない性格の男の子に、しっかり話しをして諭してくれています。その熱意が伝わったのか、その男の子は見事謝る事が出来たのです。横で見ていて感動でした。H君は中学2年生で入所し、課題も多い子どもでした。人との関わりも上手くはなく、生活も乱れがちでした。そんなH君ですが、学園で過ごす中、人との関わり、ルールを守る事等たくさんの経験をして、実習も真面目にこなし、4月からは家庭から仕事に通うことになりました。

 

 高校生活3年間を学園で過ごしたS君。入所当初100キロ超えの体重。人となかなか交わろうとせず、毎週末家に帰省し、長期休暇も家庭で過ごし、学園生活に馴染めず苦痛になっていたようです。それでも、だんだん友達と会話をするようになり、好きなサッカーをするようになり、体重もみるみる減って今では70キロ。理想の体重になり身も軽くなって、優しい笑顔で冗談も言い合えるようになりました。「学園に来て良かったって思うでしょ?卒園するのが寂しいでしょ?まだ居たいでしょ?」と尋ねると、「うん!!」と大きく頷いて笑顔でした。「遊びに来るけん。」と言ってくれています。

 

 只今エールハウスにて、自立訓練中のK君。高校3年間を学園で過ごしました。入所の経緯はゲーム依存で昼夜逆転。何度ゲームを隠し持ち、隠れてやっていて注意を受けてきたことか。注意を受けても反抗的。何度も向き合って話しをしてきました。学年が上がるにつれ、学園生活も学校生活も落ち着いてきて、数回の実習を経て一般就労が決まりました。今は自分で5時半に起き、身支度をして550分には朝食を食べ、615分には学園を出て登校しています。学校終了後は自動車学校。帰ってくるのは21時頃で、よく頑張っていると感心します。

 

 笑顔が素敵なT君。学園に入所した時は、好き嫌いが多く、なかなか食事を摂ってくれませんでした。朝食はほぼ食べない。他の食事も好きな物しか食べずどんなに促しても口を一文字に結び、栄養状態を心配したものです。それが今では何でも残さず食べるようになり、食事の30分前になると必ず食堂の前に来て嬉しそうに待っています。毎食お替わりをして食べ、食べる事が大好きになりました。卒園後は大人の施設に入所予定です。そこでも笑顔を振りまいて人気者になると思います。

 

 県立聾学校に通うK君。小学2年生の時に弟と一緒に入所しました。その当時、そんな小さな子どもはいなかったので、高校生のお兄ちゃん達が怖かったと、後になって話していました。なかなかのやんちゃ者で、室小に通っている時は、色んな事をし、どこそこに職員と一緒に謝りに行った事も。入浴時、何度言ってもふざけて泳いだりする為、注意され泣きじゃくった事を話すと「も~う。何回も言わんでよ~。」と照れ笑い。高校生になってからも色々とありましたが、どんどん大人びて自分の考えを持つようになりました。学校で書いた作文が県で最優秀賞に選ばれ、表彰を受けました。その表彰は、母に感謝の気持ちを書いたものでしたが、帰ってきて、「学園の先生達にも感謝してる。育ててくれたのは学園の先生達。先生達がお父さんやお母さん。生んでくれたお母さんにももちろん感謝してるから作文はまずお母さんに書いたけど、次は先生達に書くよ。」と言ってくれました。涙が出る思いでした。高校は卒業ですが、専攻科に進み、国家資格を取るため学園に残って頑張ります。

 

 他の子ども達との思いでも書ききれないほどで、思いは尽きません。

それぞれこれからの道は違いますが、この学園で過ごした経験はかけがえのないものであり、大きな励みになると思います。そんなみんなの成長をありありと感じながら、別れの時が近付いている寂しさを噛みしめています。

 どこからでも応援しています。大きく羽ばたけ♪ 若草っ子♪ Fight♪ 

                                                               入所部 松村