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「石の花」

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今、1980年頃の日本の音楽がシティポップとして、国内外で再び注目され、人気だそうですね。
TV番組で特集されているのを見て懐かしく、思い出しました。
このシティポップが流行っていた頃、私は初めて東京に行きました。

友人の両親が転勤で東京勤務の頃で友人と共に遊びに行かせてもらったのです。
友人のお父さんの計らいで、議員秘書をしている綺麗なお姉さんが東京の街を案内して下さいました。
皇居へ行ったり、竹下通りでお買い物をしたり、その頃の流行のニュートラやハマトラの服を買って

ルンルンのおのぼりさんになってました。
そして昼食に連れて行ってもらったのがユーゴスラビア料理のお店でした。
そこで出てきたデザートがブルーベリータルトで当時、生のブルーベリーは田舎のスーパーではあまり見かけた事もなくて、新鮮で甘酸っぱい美味しさが忘れられなくて、名前くらいしか知らなかったユーゴスラビアという国が私には、強く印象付けられました。
オリンピックなどで活躍するユーゴスラビアの選手を見ると応援したくなり、美しい顔立ちの人も多くてなんとなく憧れを抱いていたのですが、ユーゴスラビアのことを良く知らないまま、この国は内戦が起こり、分割され、ユーゴスラビアという名の国は無くなってしまいました。

淋しい思いはありましたが、深く知ろうともしないまま今があります。

最近、ロシアのウクライナ侵攻の関連でTV番組で紹介された漫画がありました。
坂口 尚さんの「石の花」という作品です。
第二次世界大戦時、ナチス・ドイツの侵攻を受けた旧ユーゴスラビアを舞台にした戦争大河作品です。
この頃のユーゴスラビアは1つの国の中に2つの文字、3つの宗教、4つの言語、5つの民族、6つの共和国が存在し7つの国と国境を接しているという多民族国家でした。
ドイツに侵攻された中でも、国民同士でありながら思想、宗教、それぞれの立場の違いで対立が起きてしまいます。

四方を海に囲まれた島国の日本で育った私には到底理解できない感覚がありました。
第二次世界大戦後は社会主義連邦共和国として平和な時代が続いたようです。
私が憧れたのはこの頃のユーゴスラビアです。
何も知らずに言葉の響きと美味しいスイーツに憧れて、なんて軽薄なんでしょう。

日本でシティポップが流行った頃の1980年代には再び紛争が起こり2003年にユーゴスラビア連邦共和国は解体されてしまいました。
「石の花」は一般社団法人マンガナイト主催の「これも学習マンガだ!世界発見プロジェクト」の戦争分野で2016年に選定されています。
この記事の中で、「戦争とは何か、平和とは何か、人間とは何か、自由とは何か、本質的で普遍的な問いをこれでもかというくらい投げかけてくる。戦争マンガ、歴史マンガであると同時に、一級の哲学的文学作品だ」と評価されています。

重苦しいテーマではありますが、魂に響くものがあります。

もし興味がございましたら是非ご一読を…。

児童発達支援センターおひさま 児童発達支援事業 一山