若草学園の実践ブログblog

日々草とKちゃん「僕、このお花好き。摘んでも良い?」

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週に3回おひさまに通って来てくれるKちゃんは、就学前の男の子です。言葉でのコミュニケーションは、ほとんどありませんが表情豊かで、声を出したり体を動かして「うれしい。怒ってるぞ。いやだ~。」等気持ちの表現をしてくれます。

おひさまの入口には、小さくてかわいい門があります。その門をくぐって子どもたちやご家族が子ども玄関の方に歩いて来てくれます。その門の横に夏からず~っと花を咲かせ続けている日々草があります。5月頃、放課後等デイサービスの土曜療育の中で小学4年生以上のお兄さん、お姉さんがプランターに植えてくれました。その時は、色んな夏の花を沢山植えて門の横は華やかでしたが、だんだん涼しくなって季節は秋になり今残っているのは日々草の3株だけになりました。ひょろひょろに伸びた日々草は、花も小さくなり花の数も少なくなりました。11月になりそろそろ冬を越せる春の花の植え替えを始めました。パンジー、ビオラ、ノースポール、チューリップ、シクラメン、色んな花を植えました。ひょろひょろの日々草もそろそろ植え替え時かなと思っていたのですが、丁度子どもたちが立ったまま手を伸ばした高さに花をつけています。Kちゃんは、横を通るたびに花びらを1枚そっと摘んでいるようです。保育園にKちゃんを迎えに行っておひさまに来て門を一緒にくぐるときに花に手を伸ばして無言で斜め上を見上げています。Kちゃんの顔は、私の方に向けていますが視線は横向きで空の方に斜め上に向けられています。Kちゃんがよく見せる表情です。『このお花きれい。一枚摘んでもいい?』と言っているかのようです。「1枚どーぞ」と声を掛けるとにっこりしてそっと上手に花びらを1枚摘んで教室に持っていきました。帰りも同じ仕草をして「どーぞ」と言われて花びらを1枚摘んで車に乗りました。

ほんのちょっとのやり取りでしたが、Kちゃんの思いとやり取りが出来て良かったと思いました。あらためて子どもたちとのコミュニケーションでは、言葉だけではなく表情や体の動き、声、視線等に気を配ることが大切だと思いました。

Kちゃんの姿や関わりを通して、子どもとの豊かなコミュニケーションを築くためにインリアル・アプローチの大切さを実感しました。インリアル・アプローチとは、「発達障がい等の子どものコミュニケーション特性を知り、他の人とコミュニケーションできるよう成長できるように周りの大人が援助の仕方を学ぶ手法」です。インリアル・アプローチのポイントは「①子どもをありのままに受け入れる②子どもに反応的にかかわる③狙いを持って関わり、子どもの言語とコミュニケーションを育てる。」というものでその基本姿勢は、SOUL。「①静かに見守る②興味や遊びを観察する③気持ちや発達レベルを理解する④言おうとすることに心から耳を傾ける」です。コミュニケーションの障がいを「関係の障がい」と捉え大人の関わり方を重視し、自由な遊びや生活場面の中でコミュニケーションの楽しさを経験することで子どもの潜在能力を十分発揮できるように関わることが大切になります。今後も子どもたちの周りに居る大人の一人として、子ども達との日々の関わりがその子の成長に繋がるようにと思います。     

 児童発達支援センターおひさまぷらす 放課後等デイサービス 吉田広子