若草学園の実践ブログblog

キラキラムチュー~発達障害を生きる~

カテゴリー:若草学園の実践ブログ

先日、NHKスペシャルで発達障害児に関する番組が放送されていました。
発達障害の子どもたちを20年間、追跡調査をして社会参加の状況を調べた結果、7割の人が良好な社会参加を実現できているということが分かりました。
 
この番組では11歳から12歳にかけて4人の発達障害の子どもたちを取材されていました。
 
それぞれ、夢中になれる大好きな物がある子供達です。
 
鉄道(乗り鉄、撮り鉄)
数字
ドライブ(道路、天気予報)
ゲーム作り
 
みんな好きなことをしている時、好きなものを語っている時は本当にキラキラしています。
 
学校での様子も出てきましたが、椅子にじっと座れなかったり、学習に集中できずイライラしていたり、えんぴつが無いと言ってパニックになったり、おひさまを利用されている子どもたちとよく似た様子も見られて、やっぱり同じ生きづらさを抱えていることがよくわかりました。
 
ですが、好きな事をしている時は別人です。
ご家族のサポートも素晴らしいと思いました。
鉄道好きのお子さんはお父さんの協力で休みの日には、カメラを抱えて撮り鉄活動に勤しんでいました。
道路好きのお子さんはお父さんの運転でいろんな道路を走ります。車のナビゲーションシステムは必要ありません。ナビならお任せです。
高速道路の切り替えはもちろん新旧道路の成り立ちまで全部頭に入っています。
どちらのご家庭もお父さんのサポートがありがたいですね。
 
小さい頃、買い物に行くと通路でひっくり返って泣き喚いていたお子さん。お母さんは建物の中で不思議と落ち着いていられる場所があることに気づかれました。エレベーターの前の階数を示す数字のところに来ると静かにずっと見ていたそうです。
お母さんはエレベーターの階数の数字を描いたボードを作って、〇〇階は〜売り場です。などと興味のある事を大切に、遊びに取り入れながらサポートをされてきたそうです。
 
また、コミュニケーションが苦手で、いつもお母さんの後ろに隠れていたお子さんも、ゲームを通じて初めて会う大人とも問題なくコミュニケーションが取れるようになっていきました。
 
療育に通い始めた頃、療育事業所のスタッフから大好きな数字をきっかけにしてやっていきましょうとの提案に、そんな事でいいのか?他の子どもたちと同じようにできるようになってほしいという思いがあったそうですが、好きな事をさせてていいのだと実感してからは、気持ちが楽になったと話されていました。
 
大好きな事だけれど、役に立たないからやめさせたいと思ってしまうのは親の気持ちとしては、よくあると思いますが、楽しみに思えることが少なくなったり、苦手な事を押し付けられると生きづらさにつながり二次障害を引き起こす恐れがあります。
 
信州大学の研究データから好きな物を通して社会参加や自立につながる結果が示され、余暇活動の重要性が認められています。
心が満たされるように楽しめることが発達障害の子どもたちには必要です。
またコミュニケーションにおいて同じ価値観を共有できる人や場所があることが大事で、家庭、学校に次ぐサードプレイスがある事が良好な社会参加に繋がるということでした。
 
療育に携わる者として、支援の内容を考えさせられる番組でした。
どうしても社会生活に適応できるように支援を考えてしまいます。
好きな事と言っても個人差があります。
療育の現場でどう取り入れていくか、難しい事はいろいろありますが、子どもたちの大好きな事を大切にサポートしていきたいと思います。
 
番組に出ていた子供達はそれぞれ、発達障害は自分の個性でアイデンティティ、体の一部みたいなもの、大切にしなければいけないと語っていました。
キラキラムチユーを沢山抱えて、素敵な大人になっていかれる事でしょう。
 
 
児童発達支援センターおひさま 児童発達支援事業 一山