おひさまでは行動療法に基づいて様々な療育プログラムに取り組んでいます。
落ち着かない、集団行動に乗れない、といった子どもたちにはどうしても口うるさく注意することが多くなる一方、褒めることが少なくなります。でも、そのような対応を続けて、その子の困った行動は減っていきません。逆にますます手に負えない行動が増えていくことにもつながります。
そんな時は行動療法が効果的です。大人の方がほんの少し、子どもへの対応の仕方を変えます。集団の中で落ち着きがない、集団行動に乗れない子どもは他の子どもと比べてどうしても褒められることが少なくなります。でも、子どもは他者から褒められてこそ自信を育むことが出来ます。自分の良い行動に注目してもらい、褒められることは誰でもうれしいもの、褒められることによって子どもは、自信を持ち、人から大切にされる存在であると感じられる、つまり適切な自尊心を育むことができます。
ところで、令和4年度は、児童発達支援センターおひさまは菊池圏域療育事業所の職員さん達向けのスキルアップ研修会の事務局をさせて頂きました。講師は相談支援センターいちばん星の岡村先生(公認心理師)にお願いしました。行動療法の基本について6回連続講座でした。子どもの行動に注目することで感情的にならずに落ち着いて対処するトレーニングでした。「行動」とは目に見えるもの、数えられるもの、聞こえるもの、具体的に動詞で表現できるものです。行動を具体的に見ると褒めやすくなります。具体的に褒めることは子ども自身に「何をすればほめられるか」が伝わります。しからなくても、ごく平和的に、穏やかな関係の中で「好ましくない行動」を減らしていきます。研修を通して、菊池圏域の事業所の職員さん達と学び合う時間が持てたことは、菊池圏域の療育事業所の療育の質の向上につながったと思います。それは菊池圏域の子ども達にとって、行動を適切に見てくれる大人が増えたことになります。その穏やかな輪が広がってほしいと思いました。
先日、おひさまのスタッフが同じ敷地内の若草児童学園のお手伝いに行った時のことです。
就学前の子ども達の就寝準備をしている時に、一人の男の子が眠気もあったのかイライラして他の子に掴みかかったり、泣きながら物を投げたりしていました。言葉ではイライラの原因を教えてくれません。おひさまのスタッフの元へ泣きながら「抱っこ~」と言ってきました。スタッフが「膝の上になら抱っこできるよ。投げたおもちゃを片づけてね。」と話すとさっと片づけて抱っこしてもらい「眠い~」と言ってそのまま眠りました。
人に掴みかかることも、物を投げることも好ましくない行動です。この場面でも子どもの好ましくない行動に大人が注目して止めさせようと声を掛けると増幅してしまうかもしれません。静かに黙って行動を止め、子どもの発信を受け入れることで子どもが協力的になり指示が通りやすくなった場面でした。
変化は急には起こりませんが「そういえば、最近困った行動が減ってきたな」とふと気づくのだと思います。
このように、小さなやり取りがある時、ある場面で「今のやり取りは良かった。」「できた」と思える瞬間が私達、スタッフにとっても「次も頑張ろう」と励みになり、子どもとの関係性も穏やかになります。大人と子どもの穏やかな関係の中で行動を改善していく事が日々の療育の目指している方向であり、おひさまのチームカラーでありたいと思います。
児童発達支援センターおひさま 放課後等デイサービスおひさまぷらす 吉田広子