先日、療育関係の事業所連携会議があり協議事項に「療育の出口支援」が取り上げられました。選定の理由は、「①事業所数は増えているにもかかわらず利用希望者も多い為、待機児童が生じ、療育を必要としている子どものニーズに応じてタイミングよく療育が受けられない現状がある事。②インクルージョンの推進の為地域のコミュニティにつなげていく意識を高め促していくため。③出口支援は、次の居場所や必要な関係機関とつなげていく取組も含まれ、保護者支援や関係機関との連携の強化にもつながる部分もあると考えられる為。」とのことでした。
入口があれば当然、出口もあります。地域生活の中で困り感を抱えている親子が「療育」を受けながら社会で生きていく力をつけていく時の「初めの1歩」が療育の入口支援となります。まず入口に立って足を踏み入れるイメージが浮かびます。療育の場面では集団の中で自分をコントロールする力をつけて人とやり取りする力を日々コツコツと身につけながら一つ一つ小さな「できた」を増やしていく姿が見られます。人との生活の中で「まあ、いいか」と自分の気持ちと物事や周りの人とバランスをとりながら自分の行動のコントロールをして周りの人と協調していく姿もあります。子どもは「療育」を通して色んな人と交流して成長していきます。家庭では、子どもの「困った」に向き合い「療育」を通して掴んできた子育てのヒントを活用できるよう支援者とのやりとりを日々重ねます。将来、進路選択をする時にはそれまでの色んな人とのやりとりや様々な場面で経験してきた自己選択と自己決定が強みとなります。
放課後等デイサービスで療育の出口支援として考える時に課題となることは、児童と保護者の目標のずれも考えられます。こどもは「ひとりでできるようになってきたから療育を終わりたい。」と考えていても保護者は「まだ療育終了は早い」という不安を抱えて終了になるタイミングを計ることは難しい時があります。そこで私たち支援者が配慮することは、子どもとも保護者ともやりとりを十分にすることだと思っています。親子の言葉からお互いの気持ちを理解し、支援者としての考えを分かりやすく伝える、そのやりとりを重ねたうえで将来に向けてどうすると良いのか、具体的にこれからすることは何なのか子どもを真ん中において福祉・医療・教育など関係する人たちで知恵を出し合うことが大事なのだと思っています。
「療育の出口支援」が会議の議題となると答えを考えがちですが、どのような場面でも関わる人とやりとりを重ね、課題に気づいて方向性を見定め具体的な行動に移していくという繰り返しが大切なのだと改めて思いました。
ひとりの子どもの心と体の成長に色んな支援者や家族が関わりやりとりを通して繋がりオーダーメイドの出口支援を形作っていくためには、支援者自身のスキルアップも求められる為、日々精進しなければと気を引き締めたところです。
児童発達支援センターおひさま 吉田広子