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ふくしとは

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ふくしとは・・・・・

「福祉」の文字になぞらえ

「ふ」普段のまたは普通の

 「く」暮らしを

「し」支援する。

また、福祉士を“普段の暮らしを支援する仕事です”と表現したりします。

では普段の暮らしとは、普通の暮らしとはいったいどのような暮らしでしょう?

福祉の支援は、ややもすると矛盾に満ちた支援が多いことに、私自身長らくこの仕事を続けてきて感じています。

例えば、高齢者施設はどうでしょう?入所するためには介護認定が必要ですが、夫婦で夫が介護認定を受けても妻は介護の必要性がなければ認定も、施設入所もできません。

50年以上連れ添ってきたご夫婦が、人生の終末期に、妻が「介護ができない」という理由で離れ離れになるのです。

児童養護施設しかり、親と子どもが離れ離れに生活する、これを普通の当たり前の状態といえるのでしょうか?

他人におむつ交換をゆだねなければならない無念さ、男性に入浴介護をゆだねなければならない惨めさ、普段の生活とはかけ離れた支援時間、福祉の支援には多くの普段とは違う異質の世界が繰り広げられています。

福祉の支援のあり方も施設から在宅へ移行しつつありますが、それでも福祉施設や福祉サービスはこれからも必要不可欠な福祉サービスであることに変わりありません。

普段の暮らしを支えるために福祉が存在し、その福祉サービスが普段や当たり前には程遠い行為を繰り返していること、これは止むを得ないことかもしれません。

だからこそ支援者は、サービスを受けるご利用者のこの無念な思いを汲み取り「支援してあげている」のではない「支援をさせていただいている」という謙虚な気持ちが必要なのだと思います。

但し、なかには「福祉サービスを利用してやっている」等、傲慢で横柄なご利用者の存在があるのも事実です。これもまた普段の日常とは違っています。だからこそ福祉支援技術には「沈黙」や「対決」「現実の告知(相手にとって嫌な事、触れられたくないこと、気づいて欲しいことを告げる)」という他のサービス事業とはまた違う支援技術が存在し、これこそ「対等な立場、対等な関係」という福祉理念の一部なのです。

ご利用者の「普段の当たり前の生活が送れるために」専門性のある情報と技術が提供できるよう、これからも日々努力を重ねて行きたいと思う毎日です。

相談支援センターいちばん星 成瀬