創設理念介護老人福祉施設 白川の里

白川園の本部がある白川の里は、平成25年に全面改築を行いました。曲線を用いた美しいエントランス、緑の芝生が広がる中庭、花壇には美しい花が咲き、建物の中にはステンドグラスとたくさんの絵画が飾られています。南仏のリゾートホテルをイメージして作りました。
“介護老人福祉施設にこのような豪華な設備は必要ない”という批判は承知しています。
しかしながら、この白川の里の建物や調度品、美しく整備された園庭には私なりの思いが込められています。

きっかけは旧園舎時代にあるご家族から言われた言葉でした。「母が白川の里に入居していることは親族には秘密にしてあります。たとえ兄弟達から聞かれても言わないでください。」介護保険の導入から時間がたち、特養に入るのがそれほど珍しくなくなった頃のことです。こんな古くて汚い施設に親を入れていることを人に知られたくない、というのが理由でした。白川の里は入っていることが恥ずかしい、人に隠さなければならない施設なのだ…と思うと、とても悲しい気持ちになりました。
家族が隠したいと思うような施設ならば、働いている職員も自分の仕事に誇りを持つことなどできないとも思いました。

またこの一件は私に遠い日の記憶を呼び起こしました。私の親戚には脳梗塞を患う人が多く、子どもの頃よくお見舞いに行っていました。そこは老人病院と言われるところで、一つの部屋に6~8人が薄いカーテン一枚で仕切られて寝ています。部屋には異臭がたちこめ、手足をベッドに縛られた人もいました。「こんな風に年を取りたくない、自分がこうなるのは絶対に嫌だ」と子ども心に思いました。

“既存の施設がだめならば、自分で理想とする施設を創ろう”これが、私が今の仕事を始めた理由です。『暗く、汚く、臭い』と思われているならば『明るく、美しく、快適な』施設にしようと思いました。介護施設というものは、誰もが入りたくて入るものではありません。
やむを得ない事情で利用することになっても、家族には頻回に会いたいと思います。
白川の里はお見舞いに行くところではなく、休みの日に遊びに行くところ、子ども達の声が聞こえ、ゆっくり中庭を眺めながらお茶でも飲みに行くところ、とご家族に思っていただければと思います。

白川の里のエントランスホールの吹抜けには、「帰港」と題したステンドグラスがあります。
私たちの施設を利用される方はみなさん、これまで長い人生を歩んでこられました。日本が現在のように豊かではなく、戦争を体験された世代でもあります。我々が想像もできないような辛い体験をされたかもしれません。また、将来に希望を抱き充実した日々を過ごされた時もあったことと思います。お一人おひとりに、人生があり、大切に思われるご家族がいらっしゃいます。

このことを私たちは忘れないようにしたいと思います。これまで歩んでこられた長い人生に思いをはせ、敬意を払うとともに、これからの時間を安心して過ごしていただきたい。そのような思いが、このステンドグラスには込められています。

白川の里がご利用者、ご家族、そしてここで働く職員の皆さん方すべての人にとって、幸せになれる場所であればと思います。

社会福祉法人 白川園
   理事長 吉良朋広

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