中高生女子との会話に時々昔を思い出して話してくれることがあります。学園へ来た頃のこと、宿題を泣きながらやっていたこと、部屋の片づけでもめたこと、卒園した子への思い等、今だから話せる内容を聞くこともあります。 どうやら楽しかった出来事よりも嫌だったことや喧嘩超しにやり合ったことの方をよく覚えているようで笑いながら話してくれます。 すると、「私あの頃と比べると成長したよ」や「マシになったよね」と自己を振り返り肯定する言葉が現れます。「いやいやまだまだ」などと言う言葉は控え、「昔の〇〇さんには私もどう対応したらいいか悩んでた」と伝えると自覚しているのでしょう「気を付けてます」と返してくれます。 まだまだ現在進行中。
私も学園へ就職して8年。当初はパートとして子どもたちと関わり、長―く入所している子からしたら「あの頃の私を知っている人」という事なのでしょう。昔を思い出して懐かしく話をしてくれることをとても嬉しく感じます。
さて昨今は、「うるさい!黙れ!」「くそババア!キモ!」など荒々しい言葉を浴びせられながら日々戦っています。深呼吸し大人の対応、自己コントロールしながら忍耐強く、そして「ババアは最強だぞ! そう簡単にへこたれない」と自分を立て直しながら、もちろん周りの職員の知恵や力を借りながら頑張っているところです。
先日、児相からお話がありました。
【複雑な環境で育った子や虐待を受けてきた子が入所に至ると、たくさんの課題を背負っていることに気が付くと。 〇基本的習慣が身に付いていない 〇自己中心的な言動、挑発的かつ攻撃的な言動 〇感情コントロールが苦手 〇忍耐力、集中力に欠け学習意欲が低い 〇消極的で自分を守るのが精一杯・意欲が感じられない 〇自己肯定感が低い。なお発達の遅れが養育者の負担となり深刻さが増していく。】
今まさに、こういったシビアな環境で育った子たちがぞろりと生活を共にしています。 正直これだけ乱暴な言葉が飛び交うと別世界に来たかのように感じる事もあります。
まずは衣食住をきちんと揃えることから始まり、次に基本的な生活習慣を一つ一つ支援していくのですが、見守る中で行動の未熟さ激しさ乱暴さに目に余るところがたくさんあり、果てしない支援の課題に啞然としてしまう、なんてこともあります。 それでも試行錯誤してやり続けること、諦めないでいることと思い、子ども達と向き合っています。 が、時々、ここに自分がいる意味を探すことも。
そんな中、児童養護施設運営のガイドブックを見ていると、
【子供が歩んできた過去と現在、そして将来をより良く繋ぐために一人一人の子どもに用意される社会的養護の過程は健やかな発達と成長への「つながりのある道筋」として、子ども自身にも理解されるような関りと支援が必要です。そのためには子供に関わった養育者の思い出がその子供の心に残り「自分は愛され、見守られ、期待されてきた」という気持ちを育めるよう支援していく事が大切です。】
まさに福祉に課せられる達成度が崇高だなと感じつつ、とりあえず、目の前にいる子どもが、出来なかったことが出来るようになっていく、知らないでいたことが自ら行動できるようになっていく、そして、小さい子に目が向けられ優しくお世話をしてくれるようになっていく。 一つ一つ、葛藤しながら自分の力を付けていく姿を傍で見守り、見届けていくことなのかなと思っています。
そして、いつか「あの頃は・・・」と笑って話せる日が訪れたら、また、続けてきてよかったなあと思える瞬間にたどり着けるのでしょうね。 その日を期待して明日もまた頑張ります。
入所部 クレメンツ由美