若草学園の実践ブログblog

「遊びから学ぶこと」

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 最近は携帯型ゲーム機が普及したことにより、ひとりで遊ぶ子供たちが多いようです。しかし、この遊び方では体全体をつかった運動や人との関係、感情を育てる「遊び」にはつながらないと思います。私たち職員は遊びなどの活動を通して、子どもたちに人との関係や社会性を学んでいけるようにサポートしていますが、このスキルを身につけていく過程が中途半端だとトラブルのもととなってしまうことがあります。

 あるとき、Aさんが同じ部屋で遊んでいたBさんのおもちゃを黙って取ってしまったことがありました。そのとき私はAさんに、「貸して」といってから借りるようにと伝えました。しばらく遊んでいると今度は、Aさんが「貸して」といってCさんからおもちゃを借りようとしているのですが、そのお友だちは「いや」というのでAさんは怒ってトラブルとなっているようでした。そこで私は、このおもちゃは「Cさんが使っているから使い終わるまで待とうね」といい、使い終わってからそのおもちゃを借りる事ができました。また次の遊びの時にAさんは、Dさんが遊んでいたおもちゃが置いてあるのを見つけてそれで遊ぼうとしましたが、戻ってきたDさんは未だ使おうとしていたためトラブルになりました。そのため私は、AさんにDさんが使っていなくても「いいよ」というまでは勝手に使ってはいけないことを伝えました。

 このことから、Aさんは、貸し借りの仕方が理解できていなかったのか、その時は目の前にあったおもちゃで遊びたい気持ちが強かったのか、はっきりとしたことは分かりませんが、ここでAさんは最初に、「貸して」と言えば貸してもらえること、次に、「使い終わったもの」なら借りてもいいこと、最後は、相手が「いいよ」といわれることで貸してもらえること、このように借りるという場合にはいくつかの段階があることを知ることができたのではないかと思います。このことから、この段階を踏んだ貸し借りの仕方が理解できていればトラブルは回避出来たのではないかとも考えられます。また、ここで大切だなと思った事がもう一つあります。それは、貸してもらう子だけでなく、貸す側の子のことです。「貸して」と言われても、「どうぞ」と言いたくない場合もあるのではないか、例えばお気に入りのおもちゃで遊んでいる子が、「貸してと言われて(先生も一緒だと特に)」盗られたという感情をもつこともあるのではないでしょうか、ですから、「どうぞ」と言わないことが悪いことだと思わせないように、貸す側への配慮も必要ではないかと思います。遊びの中で社会的スキルを身につけるには、いくつかの段階がありますが、それを子供たちに知ってもらい、理解してもらいながら、子ども達の様子をよく見て、どの段階まで分かっているのか 、どの段階が分からずにトラブルとなっているのか、同時に気持ちよく貸せるにはどうしたらよいかなど考えながら、分かりやすく伝えていけるように心掛けていきたいと思っています。

 

若草学園 通所部 

放課後デイサービス「おひさまぷらす」

 治部田 均