平成から始まった今年度は令和を迎え、もうすぐ1年が経とうとしています。子どもたちは心も体もこの1年で大きく成長しているようですが、果たして自分自身はどうなのかなと考えると、あれでよかったのかな、これはどうなのかなと考えてしまうことが多かったような気がします。そんな中で目にしたのが、ドロシー・ロー・ノルトさん(アメリカの親子教育の専門家)の書かれた「いちばんたいせつなこと」(出版:PHP研究所)という絵本です。本には子どもたちに伝えたい「たいせつなこと」が、短いひらがなのメッセージとかわいい動物たちのイラストで描かれています。この本を読まれた方も多いと思いますが、皆さんにも紹介したいと思います。
本の中には16の「たいせつなこと」が書かれています(原文のままは書けないので、初めに出てくることばだけ要約すると)①「かならずじゅんばんはまもりましょう」は「順番を守ろう」とすれば、他のことばは次のようになります。
②「自分の役割を果たそう」
③「人の役に立とう」
④「やると言ったことはやろう」
⑤「人といっしょにいる時間を大切にしよう」
⑥「ルールを守ろう」
⑦「自分にできることだけを約束しよう」
⑧「やり始めたことは最後までやりとげよう」
⑨「本当のことを話そう」
⑩「家族を思う気持ちを伝えよう」
⑪「間違いや失敗から学ぼう」
⑫「人の過ちは許してあげよう」
⑬「正しいことをしよう」
⑭「自分の体を大事にして体によいことをしよう」
⑮「最高の自分になるためのことは惜しまずやろう」
⑯「自然の美しい世界をしっかりと見つめよう」
そして、最後に「一番素敵な自分になろう」と締めくくられています。
一つひとつを見ると、どれも当たり前のことで簡単なようですが、果たして自分にはそれがいくつできているだろうか、日常生活を振り返って考えてみると…、約束したことをきちんと守れているだろうか、人に「ありがとう」と素直に感謝の気持ちを伝えているだろうか、相手が子どもだからと、適当にごまかしてはいないだろうか、人の間違いや失敗を指摘して、許せていないのではないだろうか、など、考えさせられるものばかりです。そう思うと、私には子どもだけでなく大人に向けたメッセージでもあるような気がしてなりません。子どもの頃に教えられてきたことなのに大人になるにつれて忘れてしまう、大人の矛盾に気付かせてくれる。そんな、少し心をチクリとさせる暖かいことばです。
この「たいせつなこと」はどれもおろそかにできないものばかりです。今年一年をふり返り、自分を見つめ直し、次年度へと向かう、今。私だけでなく子どもたちにも、それぞれのよさをたくさん出してもらうために、ドロシーさんが言う「最高の自分になるためのことは、惜しまずやること」を目指して、今一度、この「たいせつなこと」を見つめつつ、子どもたちと接していきたいと思っています。
若草学園 通所部
放課後デイサービス「おひさまぷらす」
治部田 均