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チームアプローチをする上で大切なこと・・・

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療育におけるチームアプローチをしていく上で、子どもに寄り添うためには、まずは職員同士がお互いを尊重し合うことができることが重要なポイントになると考えています。

 

 私たち療育者には、発達課題のある子どもの療育を実施していくためには、定型発達の成長過程を理解し、そして、発達課題に関する各種専門的知識と経験による技術習得が求められています。

 

しかし、チームで動くに当たって、個人のスキルというものは、時としてその個人が持っている本来の力が半減してしまう場合があります。

 

例えば、テニスのシングルでは優秀な成績を収めることができているのに、ダブルスになると上位に入ることすらできない場合があります。逆にシングルでは成績が上がらなくても、ダブルスになると力を発揮する場合もあります。

 他にもチーム力を考えた時、オリンピック陸上男子4×100mリレーやバレーボールなどを想像すると分かりやすいのではないでしょうか?

 

 今年度も上期が終了しました。4月から、各クラスが新しいチーム編成で子どもたちの最善の利益を考えた療育プログラムの作成と提供を行っています。

 

 そういった状況の中でついつい起ってしまうことがあります。それは、自分が忙しく動いている時に座っている人(何もしていないように見えてしまう)を見ると『自分はこんなにバタバタしているのに、あの人は座って話をしている…』とか『どうして手伝ってくれないの?』といったネガティブな感情がこみあげてくることです。

 皆さんはこういった経験をしたことはありませんか?私は現場の最前線で働いている時、何度も経験しました。特に自分に余裕がなくなってくるとそういった感情になっていたなぁと記憶しています。

 

 このようなネガティブな感情が出てきてしまうと、どんなに個人の力が高くても、結果的にはチーム力は低下してしまい、子どもにとってのより良い療育は提供できなくなってしまいます。

 

 子どもの行動を見立てる時、その行動の前(きっかけ)を確認するようしています。私たち大人の世界も同じだと考えています。誰かが何かをしている時には、その行動をとっている理由があると思います。前述の状況でいえば、もしかしたら、直前まで休む間もなく動いていて、たまたま休憩していただけかも知れません。

 自分が落ち着かない状況だと、どうしても、物事を考える時の中心が『自分』になってしまいます。

 

 同僚や部下に対して、目で見えたものを自分の価値観で自己判断するのではなく、療育と同じように、同僚や部下の行動の理由を考えていくことがとても大切だと思います。職員間でそういった配慮がお互いにできるようになってくると、個人がもっている高いスキルが集合体となり、子ども一人ひとりに寄り添った、専門性の高いアプローチができるチームになると信じています。

 

 今年度も残すところあと半年。子どもや家族だけでなく、職員一人ひとりに寄り添えているかを振り返りながら、意義のある毎日を過ごしていきたいと思います。

 

児童発達支援センターおひさま 河野 光輝