私は、幼児さんのトイレ誘導の時はいつもS君に「Sちゃんも行こう」と誘って行っている。この日も誘ってトイレに行くとS君は立って所用せず洋式へ入った。便かな?と思いながら幼児さんのトイレをお手伝いしていると、「ズボンが濡れました。ああ~パンツにウ○コがついてます」と自身のパンツを覗き込み、発見するなり「着替えてきます」と一目散に部屋へ行った。着替えて戻って来ると、「パンツとズボン洗います」とトイレに入って来た。「どこで洗うの?」と聞いている間に、奥にある洗い場にバケツを置き、水を入れ汚れた物を素手でゴシゴシ洗い始めた。洗い終え持って行こうとしたが、途中で立ち止まり、もう一度パンツを広げてマジマジと確認している。すると「まだ付いてます」と今度は手洗い場でゴシゴシ。何度も何度も確認しては洗い、綺麗になると絞って洗濯場へ持って行った。
この一連の彼の行動は一心不乱と云えるほど、問題発見から解決まで全く一人でスムーズに完璧に終わらせていました。日頃はお尋ね屋さんのS君。元気いっぱいで失敗して怒られる事も多いのですが、決して日誌には上がらないS君の力をぶつけられた思いでした。恐らく日頃も出来ている行動だと思います。もちろんここに至るまでには支援者の持続的な関わりがあっての事だと感じました。見えないところで頑張っているS君、再び戻って来たので全力で褒めた私でした。
「アントレ教育」(アントレプレーナー教育)聞いたことありますか? 私も最近知ったことなのですが、起業家的な精神を養うものだそうです。少し前までは、特定の人、つまり起業を考えている人(大学院)にしか必要ないと思われていたのですが、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代では自ら動く力がなければ生きていけない。起業する人だけではなく誰もが必要になる教育だと考えられ、文科省でも推進され小中高生や企業向けにも広がっているようです。では、「アントレ教育」とは、子どもの「非認知能力」「失敗してもめげない力」「コラボレーションする力」を伸ばす仕組みがふんだんに含まれているといいます。
「課題解決」から「課題発見」にシフトして、指示された課題をどう解決すればいいのかを考えるのはこれまでの教育。これからは、「何が課題なのか」を自分で見つけることが重要と考えられています。組織の中では、上司からの指示を待ち単に正解を見つけるだけではなく、正解があるかどうか分からないことをやる力、意志を持って何かを始める力を求められるということだそうです。小学生の取り組みは、普段身近なところでいつもと違う目線で新しいことを発見、そこから掘り下げていく学習になっているようです。
日本の国際競争の低迷から打ち出された取り組みといえ、子供たちに課せられる課題は膨大にありすぎています。だからこそ、将来を背負っていく子供たちを大切に育てるのは今の大人の責任だと思います。一人ひとり、どんな子に育って欲しいか想像しながら関わることが大事ですね。私も「学びなおし」の一環として、何かしらに目を向け、目線や角度と変えながら考え続けて行きたいと思います。
入所部 クレメンツ由美