今月22日、神戸市西区の草むらで穂坂修ちゃんの遺体が見つかり、母親の穂坂沙喜容疑者(34)と弟の大地容疑者(32)ら、きょうだい4人が、修ちゃんの祖母(57)を自宅で監禁し、暴行したとして逮捕されるという非常に痛ましい事件がありました。
これから、色々なことが明らかになっていくと思われますが、子どもが犠牲になる背景には、当然ですが必ず養育者(大人側)の問題が隠されています。しかし、その大人(養育者)も、子ども時代を過ごし、親に育てられていたこと、今も人生の成長発達段階の途中であることを考えると、今回の事件は、今までの育ちの中で、様々な不の影響(自身の捉え方、感じ方を含む)を受け続けた最悪の結末だと感じます。
日々の相談業務を行う中で、様々なケースとの出会いがあります。
最近は、子どもの発達特性(気になる言動)を考えることより、先ずは①生活習慣(食事・排泄・清潔面)、②生活リズム(良質な睡眠時間の確保)、③親子関係(父・母との関係、兄弟関係など)、④保育士やお友達との関係、⑤自由時間の過ごし方(具体的な遊びの内容)等を重視した聞き取りを行っています。それは、時代背景を理由に、子ども達の心身の健康が損なわれているケースが多いと思うからです。
先日、1歳くらいの赤ちゃんがベビーカーに乗せられ、ママと散歩をしていました。その時の赤ちゃんは、ベビーカーに揺られながら、手すりに付けてあるタブレットを眺め、指しゃぶりをしていました。1歳の赤ちゃんとの散歩にタブレットが必要なのでしょうか?いずれ、スマホやタブレットを操作するようになる子ども達。せめて乳幼児期は、人の行き来や流れる景色を眺めていたり、お母さんからの共感の声を聴いているだけで、ゆっくりとした自然の学びがあるはずです。機械的な映像や音声ばかりが与えられていると、自然の音や鳥のさえずりにも気がつかなくなります。自然の中にある沢山の感覚刺激を受け、情緒豊かに育って欲しい。そう願ってやみません。
AI技術の発展に伴い、どんどん時代が進化していますが、人類が誕生して以来、生まれたての赤ちゃんから幼児期、学齢期、思春期と、生身の人間としての育ち自体は、何も変わっていないのです。変わっているのは、社会であり、生活環境であり、関わる大人の思考です。
相談に繋がってくるほとんどの保護者は、とても子どものことを大切にされ、愛情いっぱいに育てられています。ただし、人間は分からないこと、知らないことに対しては、否定的になる生き物のようです。偏見が強い人ほど、発達障害についての誤解も多いように感じます。賢さは、IQ値ではなく、「柔軟性」と「適応力」とも言われています。大人側にある自分よがりの見栄やプライドを捨てること、子ども自身を丸ごと受け止めることで、子ども達は健康で穏やかに成長していきます。それが大人に課せられていることではないかと感じます。
相談支援センターいちばん星 伊豆野