アンパンマンといえば、子どもたちみんなが知っている人気のキャラクターです。おひさまでも就学前の子どもたちには人気があり、小学生でもアンパンマンの絵を描くことやそのキャラクターの遊具で遊んでいる姿を見かけることがあります。3~4歳までの子は経験も浅く先入観も少ないので、好きか嫌いかを、本能的に見ているのではないかと思います。そんな子どもたちにとってアンパンマンとは、どんな存在なのだろう、どのように見ているのだろうと考えみました。
アンパンマンは正義の味方、いわばヒーローですが、どちらかというとイケメンでスタイルがよく、カッコいい技や武器を使うわけではありません、時には自分の顔(アンパン)の一部を食べさせ顔が崩れてしまうといったことさえします。
このようなアンパンマンが人気なのはなぜでしょう。それは分かりやすさ(覚えやすさ)にあるといえます。一つには、アンパンマンのデザインです。アンパンなど身近で親しみのある食べ物などをもとにしてキャラクターが作られ、顔も大きく単純なので分かりやすく描きやすいという点です。つまり自分でも簡単に描けるということが子どもたちにとっても身近なものとさせているといえます。
また、ストーリーもアンパンマンの仲間たちのところに、ばいきんまんがやってきて悪いことをする。そこへアンパンマンが助けに来て、ばいきんまんをやっつける、敵味方がはっきりしており、実に単純明快な展開で子どもたちにもよくわかることから、期待を裏切らない満足感が得られる点で好まれているといえます。
さらに、アンパンマンというネーミングの分かりやすさにあります。言葉を覚え始めた子どもたちが、「パパ」「ママ」「ワンワン」などと言うのと同じように、「〇ン〇ンマン」と言って覚え始め、やがて「アンパンマン」いえるようになる。アンパンマンは子どもたちにとって発音しやすい言葉であり、自分で言えるという点で嬉しくなるのではないでしょうか。
このように子どもたちにとってアンパンマンは身近で親しみやすい存在だから人気があるといえます。
ちなみに子どもたちの好きなアンパンマンのキャラクターは誰かご存じでしょうか、参考までに、1位から10位までは次のようになっています。(これ以下については、下のサイトをご覧ください)
『 アンパンマン人気投票』2018年
第1位: アンパンマン
第2位: ばいきんまん
第3位: コキンちゃん
第4位: ドキンちゃん
第5位: あかちゃんまん
第6位: メロンパンナちゃん
第7位: カレーパンマン
第8位: だだんだん
第9位: ロールパンナ
第10位: めいけんチーズ
参考:アンパンマンポータルサイト「それいけ! アンパンマン人気投票 いちばんすきなのだあれ」より
いろんなタイプのキャラクターがいますが、自分は?あの人はどのタイプなのかな?と考えるのも大変面白いものです。
アンパンマンはこどもだけでなく大人にとっても意味深いものがあります。そのことは、作者であるやなせたかしさんの言葉やアンパンマンの歌の歌詞から伺うことができます。
アンパンマンマーチの歌詞には生きる意味を問うものがあります。
そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえ胸の傷が痛んでも
何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!
参考:「アンパンマンのマーチ」の歌詞より
このような問いかけをされてすぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか、考えてしまいます。アンパンマンの生きる意味は、仲間(困っている人)を助けること。ばいきんまんから仲間を救うこと、困っている人(お腹がすいた人)がいれば、自分の顔を食べ物としてあげることもあります。そうすると、アンパンマンの能力は落ちますが、ためらうことなくあげることができます。このように困っている人を助けることが、生きる喜びとなっています。自分だったらと考えると…、とても難しいことです。
やなせさん自身は「ひとをよろこばせることが一番うれしい。」と言われています。家庭や職場を振り返ってみたときに、家族や他人から感謝の言葉をもらうとやりがいを感じることがあります。「誰かの役に立っている」と思えることがやる気のもとになっているとも言えます。人の幸せを願い笑顔を見ることで、自分も幸になるといえるのかもしれません。
また、アンパンマンは正義の味方ですが、それを邪魔する敵がばいきんまんです。でもこの敵であるバイキンマンの存在こそがアンパンマンの存在条件となっているといえます。単にストーリーとしての存在意義だけではありません、「敵であるばいきんまん(菌)は味方でもある」ともいえるからです。バイキンといわれる悪い菌は食べものに繁殖すると食中毒を起こす菌(サルモネラ菌など)ですが、一方で、パンをつくるときに必要な菌(酵母菌)もあります。このことからすべての菌が悪い菌だというわけではなく、菌は敵だけど味方になるものもあるということです。
コロナウイルスの流行が心配されているこの時期にこのようなことを言うと不謹慎だとお叱りをいただくかもしれませんが、今回はアンパンマンとばいきんまんの話としてお許しください。
つまり、パン(アンパンマン)とバイキン(ばいきんまん)は、敵対するだけでなくお互いに支えあう関係でもあります。このことは、人間においてもいえることです。バイキンは絶滅すればいいと思いますが、そうなると人間も生きられなくなってしまいます。人の体には多くの良いキン(善玉菌)が生きていて、悪いキン(悪玉菌)と戦い、バランスを保ちながら生きています。
過去の歴史から見ても人が戦った細菌やウイルスはたくさんあります。戦うことで免疫ができる場合やワクチンの開発によって撃退すること、共生することが可能になります。しかし、これで安心というわけではなく、おそらくコロナのような新型のウイルスと戦わないといけない事態はこれからも続いていくと考えられます。とはいうものの、今回のコロナウイルスについては一刻も早いワクチンの開発が望まれます。日常できる手洗い、うがい、マスクの着用、消毒、三密の回避などの対策は十二分に取りながらも、人間の知恵と英知を結集したワクチン(アンパンマン)の登場で、マスクがいらない、人と人が笑顔で接することができる日が、一日も早く来ることを願ってやみません。
放課後等デイサービス おひさまぷらす
治部田