新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
保護者の皆さま並びに関係機関の皆さまにおかれましては、新春を晴れ晴れしい気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年は、ようやく施設全体がコロナ前の雰囲気に戻りつつあり、各種イベント等も開催することができました。しかし、保護者の皆さんとの交流や地域の方との交流会等、多くの方が集まるイベントについては、昨年も開催を見送らせていただきました。
年末より感染者数が急増しておりますが、『人と人のつながり』が途切れることのないよう、みんなで知恵を出し合って、できることにチャレンジしていきたいと考えています。
さて、昨年の新年のご挨拶では、『仁』という一文字が表す言葉の意味についてお話をさせていただきました。今年の新年のご挨拶ではどんなことをお伝えしようかなと考えていましたが、あまり気取らずに、日頃から大切にしていることについてお話をさせていただこうと思います。
私が大切にしていることは、『ルール』についてです。
なぜ『ルール』は存在するのか? 『ルール』がなかったらどうなるのか? そもそも『ルール』って必要なのか?・・・など、どうでもいいことなのかも知れませんが、私にとっては1日を過ごす時の大きなテーマになっています。
入所施設では『生活のきまり』、通所施設では『療育棟(建物)を利用するときのきまり』などが存在します。
このような『きまり』と言われている『ルール』に対して、子どもたちからの反応は、「なんで?」「聞いてないし」「私(ぼく)が決めたわけじゃないし・・・」など、肯定的な反応はとても少ないです。そのような時、我々はついつい「ルールが書いてあるよね」とか「みんな、きまりを守ってるよ」とか「ルールは守らないといけないよ」などとこたえてしまうことがあります。
私のところにも毎日のように子どもたちが『きまり』や『ルール』について質問にきます。あまりの質問攻めに「決まりだからしょうがないね」と返したくなることもありますが、子どもが聞いてきた時は、受け流さずに「どうしてかな」と一緒に考えるように心がけています。
「きまりやルール」について、どうしてそうなったのかの経緯や意味を説明しても、納得してもらえないことも沢山ありますし、納得出来ないことで不安定になってしまうこともあります。
そんな時は「じゃあ、先生と子どもたちみんなで意見を出し合って、新しいルールを考えていけばいいんじゃない?」と話をします。すると子どもたちは「うん!わかった!考えてみる!」と言い、それぞれが経験してきたことや学んできたことをベースに一生懸命考えてくれます。
1日で決まることもあれば1ヶ月以上決まらないこともあります。決まるまでの時間が長くなればその分子どもたちは不安定になってしまいます。
それでも、私は子どもたちの「考える」「話し合う」「意見を出し合う」「やってみて修正する」ということを大事にしてあげたいと思っています。
『決まりやルール』を守ることはとっても大切なことですが、『決まりやルール』を作っていくこともできるという経験を積むことは、ルールを守ることと同じかそれ以上に大切なことだと思います。
コロナのパンデミックにより、これまでのルールが大幅に変更になり、戸惑った人も多いかと思います。子どもの頃から『きまりやルール作り』に参画するという経験を多く積んでいると、社会で日常的に変化していく制度や法律に対応できる力がついたり、なぜそのようになったのかということへの理解ができるようになるのではないかと思います。
これは障がいのあるなしに関わらず、一人ひとりの状態に応じて、経験できる機会を提供してことが私のできることだと思っています。
『昨日の正解は今日は不正解かも知れない』と考えながら、今年も子どもたちの最善の利益を考えた支援を展開していきたいと思いますので、どうぞ、一年間よろしくお願いします。
若草児童学園
児童発達支援センターおひさま
施設長 河野 光輝