放課後等デイサービスに通ってきてくれる自閉症の高校生N君。
活動が終わって帰る時間になり「さあ帰りましょう」という時になかなか帰り支度に取り掛からない。なんだかんだと関係ない事を大きな声で言いながらニヤニヤして教室から出ようとしない。一緒に帰るお友達は「まだ~?N君。早く帰ろう。」と少々イライラ気味。
N君は、急に「宿題する」と言い出す。送迎スタッフは『なんなんだ~?』と焦りだす。
結局17:00の送迎車には乗れず、お母様に連絡して30分後に送る。という日が続きました。
スタッフミーティングでは「N君は自分が帰るときに教室にまだ残っている子ども達がいると気持ちが切り替わらないのかな?」「まだやり残したことがあって、それが言えなくて行動が切り替わらないのかな?」「『さよなら』を特定のスタッフに言いたいのかもしれないね。」「17:00のチャイムの音が聞こえると切り替わる時があるよね。」等、N君の思いを必死に汲み取ろうとしたり、N君の行動の切り替えの仕方など今まで観察してきたN君の行動や考えを色々と思い起こしました。
先日のご利用の日のスタッフミーティングではN君対応のアイディアが出ました。「N君は自閉症の特性があるから、まずスケジュールの見直しをしてみよう。」「スケジュールの提示の仕方を見直そう。」「送迎前に『ミニ帰りの会』をして17:00のチャイムを聞いてタイミングよく外に出よう。」「携帯でチャイムを鳴らそうか?」「17:00から活動や学習の子ども達の姿が目に入らないようにコーナーをつくろうか。」と意見が出て「色々やってみよう」ということになりました。N君専用のスケジュールボードをN君と確認して進めます。受け入れてくれました。
『ミニ帰りの会』では今日の振り返りをお友達の前で発表してご機嫌のN君。17:00のチャイムが鳴る前に自ら帰り支度を整え「先生、帰りましょうか」と言ってくれました。
あれれ?せっかく携帯で17:00のチャイムを鳴らそうと思っていたのに。。。残念。
いつも待たされている友達も「N君、今日は早いね」とびっくり。
車に乗るとエア運転で「右へまがりま~す。コスモスがありま~す。」とハンドルを回す真似をするN君。あまりの切り替えの早さにスタッフは「え~なんで~?」と拍子抜けです。
スタッフのその日の振り返りでは「事前のミーティングでシュミレーションをちゃんとしていたから対応できてN君も自分から切り替えできたのだろう。」となりました。
毎日の療育では、対応に迷う事もありますがスタッフとのチームミーティングをして試行錯誤のくり返しが大切だと実感しています。
上手くいくと「やったね!」とテンション上がります。空振りだと「なんで~?」と反省。
子ども達の顔を思い浮かべながら日々の申し合わせや振り返りをしているスタッフの姿はほんとに作戦会議がぴったりです。
今日も子ども達がどんな姿を見せてくれるか楽しみです。どんな作戦で行きましょうか?
通所部 吉田広子